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ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など

日刊サンはロサンゼルスの日本語新聞です。 記事は毎日更新、求人、クラシファイドは毎週木曜5時更新。

第3回年間賞 ポエム・タウン

<詩 成人の部 最優秀年間賞>


おかえり  あおいうしお


ここに過去はいません。
ただ、今がある。
それでも君は昨日の悲しみをおいて、
帰ってきてくれたんだね。

おかえり。

ここに未来はいません。
ただ、今がある。
それでも君は明日の不安をおいて、
帰ってきてくれたんだね。

おかえり。

ここには今日までのすべての君がいます。
明日から生まれるすべての君がいます。

ただいま。

その言葉をつぶやけるのは、
ただ、今しかないことを知った君が。

おかえり。

その言葉でむかえよう。
初めから、ずっとここにいた君を。

<詩 成人の部 ぺんてる賞>


老い  シマダマサコ


若い頃から

死について語り合った
けれど

死は言葉に過ぎなかった

昨日あなたの
路を歩む姿を見た
とき

病のあとの

風によろめく
老いの姿 

明るい
ひかりの中

死はすでに

角の向こうに
立っている

昼も夜も  山下さち


小さい家。
地位もない。
財産もない。
この世的には、
貧しい家族。

ところが、
喜びが心に満ちあふれ、
笑う、 笑う、 笑う、
おもしろいことを話す、お父さん。
それを聞いて、ふき出すお母さん。
その二人を、見て、ニッコリする、
障害者の息子。

この楽しさ、
この輝き、
この幸い、
この喜びは、
どこから来るのか。

命をあたえられた事に、
感謝します。
すべての事に、感謝します。

眠る前に  若林道枝


ほんの少しの間
洗いたてシーツの
ほんの少しばかり紙の感覚がする
二枚の間では 
重さが放たれて
気球のように吐息が空に向かう
 
懐かしい景色
誰かが汚ごしてしまった景色
スカンディナビアの誰かがきちんと掃除した景色
曲がり角から故里が顔を出しそうな
手慣れていながら手が届かない
夢の中の言葉のように
誰も呟かない言葉が
喉から出る手前で
まあ、いいやと
丸めてしまいたい最後のように
空に向かう
 
 
どこかで父が少し大きく息を吸う音が聞こえた
お父さん
もうそこには
吐息だけの重さの
会話しかできない
あなたのいるところは
そこは暗いですか 明るいですか

<詩 成人の部 佳作>


未来を信じて  石口玲


カレンダーがめくられた
一月になった
タダそれだけなのに
何と新鮮な気分になるものなのか
時間が経過し、今日になった、と言う事だけなのに
身も心も何か新鮮になる
去年のいやな事、悲しくつらい事は忘れ
良い事だけを思い出し
今年はきっと良い事が来るさ
といつも考える
時間は前にだけ進む
過ぎ去った過去の修復は出来ない
でも、未来には計画も希望も持てる
過去は自分の土台で大切だけど
過去にかかわっていたらいつもちっとも前に行けない
今日は寒かった、今日は強風だった、
でも明日は春のやわらかい風と
希望が吹いてくるさ
そう思うことにしよう
一月のカレンダーをめくり
新鮮な気持ちになったように
二月も、三月も四月も
いつもそう思って
いつもそう願って
私はカレンダーをめくる

幕  石井志をん


面白い本が
間も無く終わる
佳境に入って間も無く終わる

本も私の命も同じことだ
あと幾ページ有るのだろう

ある日
はいもうこれでおしまいと
幕になるのだろう

やりかけた事が山ほど有る
行きたい所も見たい物も
山ほど有る

マチュピチュにも
ニューヨークにも行きたい

それよりも
友からの便りが無い
倒れたのかもしれない
幕が降りる前に
逢いに来いという合図かも

もう十分に逢って
満足したはずなのに
でも
まだ別れの言葉を言っていない

恋  古賀由美子


本当はこれが恋じゃないことくらい
重々知っている
でもひょんなことで彼を知ってから
毎日彼の姿をネットで追っている

ストーカー心理ではない
ファンレターを出す気もない
実際に会いたいとも思わない
しかし彼の生き様を知れば知るほど
知らず生きる力を与えられている

しがらみだらけの現実で
彼を想うとき
一滴の清浄な水を飲むような
すがすがしい気持ちになれる
日常生活を美しいものに変えてくれる

おかげでぐちゃぐちゃの
スクランブルエッグになっていても
私は穏やかな時間を取り戻すことができるのだ

出会いとは本当に偶然なのだろうか
私には生きるための必然に思えてならない

四歳の記憶  古田和子


ああなんと大昔なのだろう
昭和十三年は一九三八年
まだ戦争の前

その昭和十三年の九月二十四日
秋季皇霊祭の日に
麻布材木町の森島写真館に
紋付姿で一家そろって
出かけていって写した
記念写真が見つかった

懐かしいお母さん三十一歳は
ふっくらとした若い顔
お祖父さん七十七歳
お祖母さん七十一歳
姉は九歳 私は四歳
この家族の中で今
生きているのは私だけ

お祖父さんは七十七歳で
この年の暮れに亡くなった
でも私は覚えている
私たち姉妹の誕生の記を
書き残してくれたお祖父さん

数え年四歳の私の頭の中に
切れ切れな記憶があったので
七十五年も前の家族が
私の本当に懐かしい家族が
短い切れ切れのフィルムに乗って
まわり続けている

おふろ  マリコ・ニールド


今のわたしの大きなねがい 
大好きな(おふろ)にゆっくりのんびり入りたい
元気はつらつな時は(おふろ)に入りながら昔日本に行った時に買った(えんか)のテープをかけながらしみじみ日本のおんがくきくのがたのしみだった 
ほんとうに日本の歌(えんか)はいいなあ~ 
日本の心と(きもち)をしみじみ歌っている 
あの時はほんとうにしやわせだった 
たとえどんなにつらいことがあってもおふろに1時間も入っていると心があたたかくなり いやされる 
そして(しやわせ)なゆでも今はかなしいことに大好きな(おふろ)に入れないほどやせて体力もなく入れなくなってしまった
今はあたたかい(タオル)で自分の体をいたわるよおにふいてあげている 
ほんとうにほんとうにいつか元気はつらつな体になっておもいきり大好きな(おふろ)に入りたい
そしておもいきりまるまる太ってじょうぶな強い体になりたいどうか(いつか)(かならず)(ねがい)がかないますよおに

流星  内アリス


黒蜜ほどに甘く
ぽってりとした暗闇の中
いつ流れるとも知らぬ星を
ただ待つだけの生意味な時間
君の匂いを肩先に感じ
ほのかに漂う温もりの中でめぐらせる想い

いつか この身が
この地に取り込まれる日が来て
この魂に自由が与えられたとしても
君を支える大地となり
君をつつむ大気となり
ずっと寄り添い
共に在り続けよう
そして
この星が流れる日には
共に久遠の岸辺を求めて行こう

ほら ひとつ
また ひとつ
旅立を迎えた星々
それはまるで
悲しみを吐き出すための涙
万物の思いの丈を
内に秘めた宇宙のカタルシス

今 静かに君への想いを
願いと共に打ち明けよう
それが私のカタルシス
心に拡がる甘く濃厚な暗闇を
清々しく一直線に滑り落ちる

ドン ペイ アテンション(don't pay attention)  みちこ


朝の光りに明るいレストラン
三つ並んだテーブルの真ん中に
黒人の背の高い男が来て座る
身なりただしい
縮れ毛には白いもの
新聞を広げて何やら話しはじめる
彼の向かいにはだれも座っていない
ドン ペイ アテンション!
しかし、
止まることのない男の
バリトンの声と
笑いは
音としてそこら中にひびく
どうして
あんなに楽しそうに笑えるのだろう
独りきりで・・
ひとりの中に何人もの人がいる
男は 今「You」と
愉快な会話を楽しんでいる

他人(ひと)に笑いと泣きをくれた
ロビン・ウイリアムが
鬱を
病気を
酒や薬物に依存する全てを
男のように
吐き出して笑っていたら
生きる怖さを克服していたかもしれない

ああ
ドン ペイ アテンション!
ブロードウェイの
舞台に見るような屈託のない笑い
観衆は
とても
とても
しずか

片隅で  宇都湖畔

無雑作に置かれた庭の片隅で
けなげに咲いているサボテンの花

乾いた空気に埃が舞う
埃に負けまいとて
刺を一杯尖がらせて
刺の中からひょいと頭をもたげ
ひよこの羽毛のような可憐な花
私の心を捕えて離さない
雑音は全て刺にゆだねて
ただひたすら咲いている

花にみとれている中に
いつしか痼も消えていた

重荷  中尾照代


抱えている重荷を
「ヨイショ」と大地に置いてみた
「邪魔だから」と すぐにそれを強い風が
拾い上げて私の背に載せる

そこで今度は「ソーレ」と空に投げてみた
そうしたら遠くへ散っていくか
消えて行ってくれるのでは と期待して
しかし私の重荷は
空に浮くには重すぎたのか
すぐさまずしりと
私の胸に落ちてきた

しかたがない
それが生きている私の分であるならば
やはり自分で負っていくしかないか

明るい笑顔を見せている人も
元気な声を出す人も
堂々と歩き回っている人も
聞いてみればみんな重荷を負っている

自分には重荷があるが
他の人にもそれがあるんだ
と解っていることが大事で
重荷を負って生きている人と人とが
互いに労りあい 支えあっていくことで
大切なものを育んでいけるのか知れない

歩き回って汗ばんだ私の頬に
風が優しく手を触れる

大晦日  フィッジェラルド•ナヲ


何故か感傷的になり
カレンダーを見ていると
お別れですね後十分で
何処からともなく声
幻聴にしてはリアル過ぎる
辺りを見回しても誰も居ない
すると今あなたの見ている
カレンダーです
今年は色々な事が
ありましたね
来年の幸をお祈りします
さようなら
すーっと声が消えた
もっともっと
あなたの声を
聞いていたかったのに
声は行ってしまった
カレンダーを
私の手許に残して

<詩 青少年の部 最優秀年間賞>


寒さ  ミラレステ中学校7年 白形愛一朗


南極より寒いところはもう1つあります
そこは、悲しい、いじわる、心配の心です
この寒いところは広がる時もあります。
もし悲しい、いじわる、心配の心が普通の心の突撃したら
その心も寒くなるのです
寒さは病気みたいなものです

<詩 青少年の部 ぺんてる賞>


おいしい!  第一ルーテルスクール7年 新井歓喜ジョイ


初めての日本におどろきました
駄菓子をいっぱい買いました
おいしいものを食べました
大阪のソールフード たこ焼きとホルモン
吉本しんきげき 笑いころげました
お好み焼きが
ものすご~―~―~―く おいしい!

フーピーとエイプリルと 
あおあおキラキラすきとおる 
沖縄の海をもぐりました
ナーベーラーの味のうまさに びっくりしました
ものすご~―~―~―く おいしい!
おいしいって幸せだな~

飛行機  ダップルグレイ小学校2年 白形千代


ひこうきは大きい
ひこうきは出発するときはうるさい
わたしはひこうきが好きかきらいかわからない

朝  ミラレステ中学校6年 白形小菊


1日1回しか味わえない朝
生き物が目をさます
朝の音楽が聞こえる
鳥が鳴き、自然が声を出す
今日の始まり



<俳句 成人の部>


俳句選者 嶋 幸佑選

最優秀年間賞    春の宵黒髪とめて白き櫛    石井志をん

最優秀日刊サン賞   初もうでしだいに願いシンプルに   野島弘子

最優秀TJSラジオ賞  盆踊り思わず輪に入る郷の唄   野島弘子

優秀ゲスト選者賞  コスモスの倒れぬごとき君のよう   鈴木清司

四季彩賞(最優秀賞を逸した作品の中から特に優れた作品に授与)
ジャカランダ花ふりしきる迷ひ道    ウィルソン千恵子

秀逸      二世週五世の稚児や紅の口     生地公男

秀逸      振り向かぬ息子の背中に秋あかね   鈴木清司

<俳句 青少年の部>


俳句選者 嶋 幸佑選

最優秀年間賞    春が来て私の前で桜咲く    サウストーレンスハイスクール いまの さえ 15歳

最優秀日刊サン賞   雪だるま寒い外でもだいじょうぶ   ダップルグレイ小学校5年 白形小菊

最優秀TJSラジオ賞  年越しの笑い収めは歌合戦   サンマリノ高校11年 田中澪

ゲスト選者優秀賞  該当者なし

四季彩賞(最優秀賞を逸した作品の中から特に優れた作品に授与)
黙想で気持ち新たに初稽古    サンマリノ高校11年 田中澪

秀逸      かぶとむしのぞいてみたらしんだふり     ライトミドルスクールスティムマグネット8年 サイモン・チャオ

秀逸      ざりがにに釣り糸たらしにらめっこ   ライトミドルスクールスティムマグネット6年 レオン・チャオ



<短歌 成人の部>


短歌選者 西岡徳江選

最優秀年間賞    現実をしばし離れて瓶振れば抗癌剤に「ドレミファ」のあり    マスグローヴ羊子

秀逸      この春を生きた証にれんげ草ひと茎摘みて押し花にせん   麻生三春


短歌選者 岩見純子選

最優秀年間賞    真帆掛けて引き網漁の小船行く遠浅の海にシマエビ跳ねる    平凡人

秀逸      山道に続くジョギング乙女らの細き足首地を蹴りてゆく   石井志をん

秀逸      海越えし和紙の茶袋懐かしく封筒と為し文を送りぬ   浅子恵

ゲスト選者優秀賞  次々と咲き増す椿その影に小枝にすがる花残骸も   シールス由利子

<短歌 青少年の部>


短歌選者 西岡徳江選

最優秀年間賞    ドリブルで風を切り裂く気持良さ仲間と共にゴールへ迫る    リッジクレスト中学校8年 鈴木開斗

秀逸      叫び声背後に迫るハロウィンの闇に浮かぶはゾンビ集団     サンマリノ高校11年 田中澪

秀逸      ハスの葉でカエルの親子一休み傘を片手に梅雨を楽しむ     リッジクレスト中学校8年 酒井隆成

西岡徳江選 最優秀年間賞・秀逸/ゲスト選者選優秀賞 該当者なし



<川柳 成人の部>


川柳選者 半田俊夫選

最優秀年間賞    留守電にしゃべらせゆっくりお茶を飲む    宇都湖畔

最優秀日刊サン賞   早起きをしたが昼から眠くなり   石口玲

最優秀TJSラジオ賞  カレンダー昔は水着今盆栽   永沢卓

ゲスト選者優秀賞  内視鏡腸も飛びでる請求書   鈴木ロジー

水鏡賞(最優秀賞を逸した作品の中から特に優れた作品に授与)
身支度の鼻歌妻にあやしまれ   なぎざ

秀逸      大三元社長の牌で上がれてた     永沢卓

秀逸      眠る君カーステレオの音絞る   君子シンプソン

<川柳 青少年の部>


川柳選者 半田俊夫選

最優秀年間賞    たいせつな時間は過ぎるとどこへ行く    ソーテル日本学院5年 北園ジュリア

最優秀日刊サン賞   ドライブだ花より団子おやつくれ   ソーテル日本学院5年 川西直之

最優秀TJSラジオ賞  該当者なし

優秀ゲスト選者賞  とけいよりははのめざましみみによい   ソーテル日本学院5年 浅川桂

水鏡賞(最優秀賞を逸した作品の中から特に優れた作品に授与)
とけいよりははのめざましみみによい   ソーテル日本学院5年 浅川桂

秀逸      砂時計落ちて散らばる美しさ     ソーテル日本学院5年 川西直之

秀逸      きょうしつのとけいはゆっくりすすみます   ソーテル日本学院4年 きだネーサン



年間賞の選を終えて

―選者 新井雅之

今年は【青少年の部】が、応募が少なかったようです。そんな中で白形三兄弟が頑張りを見せました。「継続は力なり」と言いますが、何事も忍耐と努力が必要です。ひたむきな態度で詩作に励むと、創意工夫の詩が必ず書けるようになります。そして自然と、思いやりのある心情を育みます。
【成人の部】は選考に戸惑いました。最優秀年間賞に『眠る前に』若林道枝さんか、『おかえり』あおい うしおさんにしようかと迷いました。
若林道枝さんは『羅府新報・ポエムサロン』の時代に、最優秀賞年間賞を受賞されているので、今年の最優秀賞年間賞には、あおい うしおさんの『おかえり』が受賞の運びとなりました。
ぺんてる賞も迷いに迷いました。佳作も交えていずれも僅差です。『老い』シマダ マサコさんと『昼も夜も』山下さちさん。これらの作品は、身につまされる思いになりました。選考には悩みはつきものですが、言いかえてみれば選者冥利につきました。
佳作では『流星』内 アリスさん。『ドン ペイ アテンション』みちこさん。『片隅で』宇都湖畔さん。『重荷』中尾照代さんらの作品が光っていました。


俳句

―選者 嶋 幸佑

毎回のことだが、やはり何と言っても、今年一年、拙い選にもかかわらず、投句いただいた方々お一人おひとりにお礼を申し上げたい。そして、選に入られた方には心からお祝いを申し上げたいと思うし、選に入らなかった方は、選者に見る目がなかったからだと思っていただけたら嬉しい。いずれにしても、毎回の選は困を極めた。年間賞は特にそうであった。最後は私の好みで決めるしかなかった。
ご存知のように、俳句は選者によって評価が大きく分かれる。どうしても、その選者の好みによって左右されるところがあるためだ。詠われている内容の好み、言葉の使い方の好み、声を出して読んだ時の音色の好み、などである。それは、選者がどのような人生を歩んで来たかに関係する。日本の俳壇もしかりである。
俳句上達において大切なことは、自分のセンスを生かしてくれる指導者と出会うことだと思っている。本で学ぶのも勿論大事だが、それだけでなく、いろいろな俳句結社をあたって、自分の心に響く句を詠んでいる主宰のグループに打診してみるのも一つの手である。今ではホームページを持っている日本の結社も少なくない。それと、やはり俳句は「座の文学」。句会に参加し、ぜひその醍醐味を味わっていただきたいと思う。
「俳句は宗教である」と私の師は言っていたが、私もその意味がようやく分かりかけてきた。だからというわけではないが、今年読んだ俳句の中で、私が最も心を打たれたあるキリスト教信者の一句を紹介させていただいて、今年一年を結びたい。作者は、ハンセン病にかかり、両手の自由を失い、足を切断され、失明し、さらには全身の知覚まで奪われて、八十一歳で他界した。
〈目をささげ手足をささげ降誕祭〉


―選者 日刊サン

成人の部「初もうで―」。小さい頃や若い頃は、願い事がたくさんあり、いろいろお願い事をしました。でも今は若い頃と違い、お金や欲しいもの、恋愛などより健康や家族の事を願うだけですね。年をとると世間が見えて願い事がシンプルになるのだと思います。
さて、今年も初もうでがもうすぐですね。大きな願い事をする方もシンプルな願い事をする方も、みなさんにとって2015年が良いい年になりますように!
青少年の部 「雪だるま―」。私たちは、寒い外に一日中いると風邪をひいたりしますが、雪だるまは外にいなければなりませんね。私たち人間と反対ですね。雪だるまは家の中にいると溶けてしまいます。素直な一句なのです。


―選者 TJSラジオ

成人の部「盆踊り―」。思い出がたくさん詰まった故郷にはなかなか帰れなくともその地に根付いた調べを耳にし、郷愁を募らせるという光景が眼に浮かぶようで、また米国に暮らす日本人にとっては誰にでも経験のある一瞬のようで、この句を選定いたしました。たとえ家族や友がその地を離れていても、幼き自分の目線で見た、聞いた故郷での体験は一生の宝物です。
青少年の部「年越しの―」。渡米当初、米国でも日本の紅白歌合戦が見られることに驚きましたが、この句の歌合戦は、NHKの紅白?それとも家族で行う歌合戦?なにはともあれ、ともに歌って笑って年を越せるのは素晴らしいことです!きっと来年も素敵な一年を過ごせそうな気がしてきます。


―ゲスト選者の年間賞は、日刊サン編集部が選びました。

コスモスが咲いている様子と花に例えられた女性が重なり合う情景が浮かんできたので、この一句を最優秀ゲスト撰者賞に選びました。長年、一緒にいたからこそ分かる“彼女”の性質を理解して敬愛している様子が伝わってきたので選びました。


川柳

―選者 半田俊夫

今年一年を振り返ると作句内容の多彩さは投稿者の皆さんの発想や視点の幅広さを物語るもので、これからも多様な作が期待できて心強いです。自分の感性を信じて自由に作句して、句に磨きをかける過程を楽しむのが醍醐味ではないでしょうか。南加川柳の歴史を作りましょう。毎回の選考も絞るのがきついのに年間選考となると是非入れたくても枠が足らなくて、選者自身が涙を飲んだ句も多くその方々には一言、ごめんなさい。
「留守電に―」。苦笑を起こさずにおかないこの人生の円熟ベテランが醸し出す余裕マイペースの持ち味の小憎さ、フテブテしさ、川柳の味、買います。
「身支度の―」。ユーモラスな傑作度が抜群。世の旦那さん達の共感を得る度合いの高さ、うかつに鼻歌などで心理を読まれてはならぬと教訓?を与える啓蒙性?楽しませる作句力です。
「大三元―」。上がらなかったんですなー、残念でしたな、サラリーマンは辛いよ、これらの共感を涌き起こさせる物語を五七五で見事に結晶させた。
「眠る君―」。何と言ってもこの優しさ、その情景を浮かび上がらせる気品もある作句力です。気分いいですね。
「たいせつな―」。若々しい素直な感受性です。成人でこの疑問を産む人は少ない。この初々しい感受性から空想やロマンが生まれそうです。
「とけいより―」。この句は年を取ってからも生涯の宝ものになるでしょう。温かく柔らかい母の存在感が一生もの。
「砂時計―」。純粋な感性で散らばる砂の美しさを教えてくれた。映像美を描いてくれました。
「きょうしつの―」。大人ではやはりこれは中々謳えない。教室心理もしっかり入っていますが、当たり前のようで大人をウーンと唸らせる視点と作です。


―選者 日刊サン

「早起きを―」。昔の人たちは「早起きは三文の徳」などと言っていたように、早起きは大変気持ちのいいものですよね。静かな朝の澄んだ空気、今日一日が幸せないい一日になるような、そんな予感がした早朝も昼近くになって昼食がすみ、しばらくすると睡魔におそわれてまどろみの中にいる…そんな時の心地よさが感じられる一句です。
「ドライブだ―」。正直ですね。ドライブよりおやつですね。とても微笑ましく純粋で、作者の気持ちがうまく表現している一句なので、選びました。これからも頑張って川柳を楽しんでくださいね。


―選者 TJSラジオ

「カレンダー―」。2015年のカレンダーはどんな写真が掲載されているのでしょうか?水着から盆栽へと推移した、その経過の中には、またいろいろな物語があるんでしょうね。想像するだけで楽しい一句です。この川柳には、楽しさと少しの皮肉、そして詠み手のストーリーが感じられ、迷わず年間賞決定です。


―ゲスト選者の年間賞は、日刊サン編集部が選びました。

今年もたくさんのご応募があり、どの作品もなるほど、そうだなと、共感するものや思わずくすっと笑ってしまう作品ばかりでした。その中でも特に作者の気持ちに共感出来る作品を選ばせて頂きました。
「内視鏡―」とんでもない額に仰天している様子が上手くおもしろおかしく表現されていていると思います。予想していない程の請求額は、まさに内視鏡をしてもらった腸までも飛び出る程の衝撃なのでしょうね。共感すると共に、思わずくすっと笑ってしまう作品です。
青少年の方たちのご応募は大変貴重でした。私たち大人には考えつかない、優しい表現や素直に表現された作品が多くみられました。
「とけいより―」。朝の目覚ましの音は、どうしても目障りに感じてしまいますよね。それが、聞き慣れた母の声で起こしてもらえば、きっと目覚ましより気持ちよく起きれるかもしれませんね。子どもの頃に、母に起こしてもらっていたことを懐かしく思い出させてもらえる作品です。


短歌

―選者 西岡徳江

投稿する前によく歌を推敲をして、応募をすると良いでしょう。同じようなタイプの報告歌などは避けましょう。若い人々の応募が少なかったですが、来年はぜひ挑戦してほしいと思います。
「現実を―」。生を昇華させた美しい歌である。生の最後の楽章に入っても、余裕と安らかさが感じられる。秋に逝去された作者。
「この春を―」。ささやかな生を生きた証を人は何に求めるだろうか。一茎のれんげ草の押し花に寄せる作者の美と詩を感じる。


―選者 岩見純子

昨年末の第九回から始まった短歌部門への応募総数は、今年末の第十五回までで、約五五O首(ほとんどは成人の部の歌)。応募をしてくださった方々と貴重な紙面を提供して下さった日刊サンに心から感謝している。 応募短歌の中には私の好きな歌が多く、その中から数首を年間賞の歌として選ぶのは、楽ではなかった。
私が選んだ成人の部の三首、「真帆掛けて―」平凡人作、「山道に―」石井志をん作、「海越えし―」浅子恵作には共通点がある。それは、三首共、着眼(目の付け所)、着想(思いつき)がいいということ。着眼、着想は、いい歌を作るのに大きな比重を占めると思う。日々の何気ない暮しの中で、ふっと、そういうものに気付くことがある。気付いたら、忘れないうちにメモをしておくことも大切なこと。これからも皆さんの応募短歌を楽しみにしている。
成人の部 「真帆掛けて―。」下の句「遠浅の海にシマエビ跳ねる」は特にいい。この歌を読んでいると、私の気持ちもシマエビのように跳ねってくる。歌を詠み慣れた人の作品。
「山道に―」。「乙女らの細き足首」を見逃さなかった作者の目は鋭い。そして、その細き足首で地を蹴って走っていく。躍動のある秀歌。
「海越えし―」。浅子作。和紙の茶袋に入った文。それを受け取った人の笑顔が見えるようだ。歌材がいい。
青少年の部 「ドリブルで―」。バスケットボールをしているのだろう。若さが溢れた秀歌。作歌はことば探しをすることだという。これからも、歌の言葉を探し続けて欲しい。
「叫び声―」。怖いけど見たいお化け。ハロウィンの夜の様子が上手く描かれている。再度、短歌に挑戦して欲しい。
「ハスの葉で―」。しとしとと降る雨を、カエルの親子といっしょに作者も楽しんでいる風景。これからも、若者の歌を作り続けて欲しい。


―ゲスト選者の年間賞は、日刊サン編集部が選びました。

作者の植物を観察する力も表現力も素晴らしいです。「小枝にすがる」という表現が切なく心に響いてきました。



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