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第21回 ポエム・タウン

<成人の部 俳句 入賞作品>


嶋 幸佑選   踏青や心音しかと聞かんとす   ローペス文子

佳作   花曇余震あまたの肥後豊後   リョウコ・スズキ

佳作   言問うやまた来てとまる赤とんぼ   麻生美晴

佳作   母の日に母のかたみの硯箱   鈴木清司

日刊サン選   吸い込まる庭の若葉の清しさよ    浅子恵

TJSラジオ選   白き指青磁に活ける黄水仙   麻生美晴


日刊サン選努力賞


手づくりの桜餅出て話づぐ    野島弘子

漏れガスのランチを覆い陽炎か   那智高雄

寒風にほころびかけた梅きりり   露の雫

幾世紀立ち続けなほ花万朶   塚本惠

春一寸影を伸ばして野の土筆   西島幸彦

寄居虫よ我も同なじ仮の宿   鈴木清司


選者のことば

―選者・嶋 幸佑

今回は、意外と難しい季語をうまく使った句が目につきました。

「踏青や―」。踏青は、春の青々とした草を踏むこと。野道や野原の草を、足でじかに踏みながら、そして、待ち望んでいた春を体全体で感じながら歩く。その実感が、この季語の真髄です。作者は初老の男性でしょうか。「心音しかと聞かんとす」。生きている、生かされていることを確かめるように、一歩ずつ歩を進めている作者。その喜びの実感が静かに、確実に伝わってきます。

「花曇―」。花曇は、桜が咲くころ、薄曇りの天候がつづき、どことなくうっとうしく、愁いがちで、心がはればれとしない様子を意味する季語。

鍵和田ゆう子さんは「捉えどころのない漠然とした季語なので、一句の中心にしっかりした景物があると、情景は鮮やかになる」と言っています。熊本や大分の余震が続いている状況、その状況を愁いている作者の気持ちが、花曇の季語に見事に託されています。

―選者・日刊サン

どの俳句も素敵で選ぶのに苦労しました。

「吸い込まる―」。吸い込まれるような若葉が浮かびこちらまでとても清らかな気持ちになりました。もしもこんなお庭を毎朝眺められるなら爽やかな1日を始められそうですね。

他にも日本の季節を思い出す「春一寸―」や思わずクスっとしてしまう「奇居虫よ―」など皆さんの俳句を楽しみました。

―選者・TJSラジオ

今回は、情景とともに詠み手の心情も浮かび上がる句が多く選ぶのに苦労しました。たった十七文字。されど十七文字。俳句の奥深さを感じています。

「白き指―」。まるで日本画のような一句。静と動が美しく混在する素敵な俳句ですね。この一句から脈々とつながる歴史、そして白き指を持つその人への想いをも感じ、感動しました。このような美しさがまさに「日本美」ではないでしょうか。



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