NikkanSAN_TopBanner_2023-05-07

ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など

日刊サンはロサンゼルスの日本語新聞です。 記事は毎日更新、求人、クラシファイドは毎週木曜5時更新。

第17回 ポエム・タウン

<成人の部 俳句 入賞作品>


嶋 幸佑選   鮎はねて森羅万象目覚めたり   ロペス文子

佳作   衿もとを飾る真珠や春の宵   麻生三晴

佳作   繕いてもう一年と更衣   浅子恵

佳作   鯉のぼり贈られし児の背伸びかな   石井志をん

日刊サン選 雲海に親子で泳ぐ鯉たちよ   詩月直竹

TJSラジオ選   鮎はねて森羅万象見覚めたり   ロペス文子


日刊サン選努力賞


コンピューター一打に送る風五月   鈴木ロジー

実家(さと)の花(桜)今盛りかと思いはせ   吉川冨士子

風に乗りタンポポ穂綿旅立ちぬ   ウィルソン千恵子

風見鶏クルリ廻りて春を飛ぶ   平凡人


選者のことば

―選者・嶋 幸佑

俳句は、季語の力を借りて、感動を十七文字で作り出す作業です。とりわけ季語の力がいかんなく発揮されるのが「取り合わせ」で、今回の作品には、それがいくつか目につきました。

例えば「花の冷じゃがたら文の涙あと」。「じゃがたら文」は、「外国人と日本人の間に生まれた子」という「罪」で一六三九年にジャカルタに送られたお春という少女が綴ったものですが、このじゃがらた文と「花の冷」は、直接には関係していません。しかし、「花の冷」という季語を上五に配すことで、お春の心情を醸しだす効果を挙げています。今回幸佑選に採らせていただいた「鮎はねて―」はいわゆる「一物仕立て」ですが、それにはない妙味があります。佳作三句のうち、「衿もとを―」も「取り合わせ」です。

「鮎はねて―」は、鮎という単一の素材を使い、その本意をとらえて「森羅万象目覚めたり」と詠み切りました。そこに、一物仕立てならではの力があります。

―選者・日刊サン

今回は春、初夏の気持ちが表現されている作品が多く、心が和みました。「実家の花―」、「繕いて―」などの句も気になりました。

「雲海に―」は、五月晴の大空に鯉のぼりが泳いでいる様子が目に浮かびます。子どもたちがすくすくと伸びやかに元気に育つようにという親の願いが表現されているとてもさわやかな一句です。

―選者・TJSラジオ

一瞬で、青々とした木々や草花、川の流れ、照りつける太陽と時折頬を撫でるそよ風。そして鮎のすいかにも似た香りが漂い、まるで水墨画に色彩がのり、動き出したかのように感じ。初夏の爽やかさをこの句で感じることができました。



<青少年の部 俳句 入賞作品>


嶋 幸佑選   該当作品なし

佳作   桜の葉ひらひらおちるつきあって   アーテジア高校 チョウ・クリストファー

佳作   しりません冬が到来私寝る   アーテジア高校 ハク・ホイミン

佳作   今日は春木が元気ですかわいいね   アーテジア高校 トリスタン・アレクシス

日刊サン選   桜の葉ひらひらおちるつきあって   アーテジア高校 チョウ・クリストファー

TJSラジオ選   しりません冬が到来私寝る   アーテジア高校 ハク・ホイミン


努力賞


クリスマスライトを見ますありがとう   アーテジア高校 シンプソン・ジョシュア

花がさくまだ若い愛またしおれ   アーテジア高校 ギル・バラリー

春ですよあたたかいです晴れますよ   アーテジア高校 オチョア・ブレンダ

春ですね花が咲きますかわいいよ   アーテジア高校 ヌーネズ・マリア

九月です暑いですねきらいです   アーテジア高校 デベロ・ジョナサン


選者のことば

―選者・嶋 幸佑

子どもさんの作品には、大人には想像できない思いが潜んでいることが往々にしてあります。深読みしてみます。

「桜の葉―」の下五「つきあって」。これは桜の花が葉に変わり、その葉もそろそろ散るころの話でしょうか。ここは普通、桜の葉同士がまるで付き合って落ちているようだ、と読むべきなのでしょうが、夏休みが終わり、二学期になって同級生と再会し、ちょっと懐かしい気分も手伝って、女の子に(あるいは男の子に)「そろそろつきあってくれてもいいんじゃない」という気持ちが、下五に込められていると読むこともできるのではないでしょうか。中七での切れによる効果です。

当季ではないのですが、「しりません―」には、もっと想像を掻き立てられます。おそらく、冬が来て寒いので「もう私、寝る」となってしまったのでしょうが、いったい何を知らないというのでしょうか。昔のことを思い出しながら、いろいろ考えてしまいそうです。

―選者・日刊サン

今回、ご応募くださった学生さんたちは、俳句を作り始めて間もない感じがしました。五七五のリズムになる単語を探しながら作った作品のように思い、学生さんたちの懸命さが一句一句から伝わってくるようでした。

「桜の葉―」は、「つきあって」の一言がとても新鮮で、この最後の五文字で葉っぱが生き生きしてきた感じがしました。

―選者・TJSラジオ

ユニーク。そして、奥が深い。「冬」は季節なのか、それとも人生の厳しさを表す「冬」なのか…。大人になると、クマさんのように、とにかく寝て冬を過ごすことが最適な人生の時もありますよね。深く考えずとも、最初の「しりません」と最後の「私寝る」の言い切りがとても印象的で、思わず笑顔の一句です。



最新のクラシファイド 定期購読
JFC International Inc Cosmos Grace 新撰組3月 Parexel pspinc ロサンゼルスのWEB制作(デザイン/開発/SEO)はSOTO-MEDIA 撃退コロナ音頭 サボテンブラザーズ 





ページトップへ