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JANMへ行こう!! vol.49 - 強制収容は思春期の少年にどんな影響を及ぼしたのか


今月のガイド
アイク・ハチモンジさん

1928年インペリアルバレー生まれの日系二世。JANMでボランティアをしているマイク・ハチモンジさんとは双子の兄弟。一世の父クメオさんは戦前に種物屋を営んでいた。日系人のMichi Taniokaが監督したショートフィルム『SOWING SEEDS OF LIFE...OF HOPE』に、ワイオミング州ハートマウンテンの収容所に種を運んだアイクさんの父親が描かれている。



―ルーズベルト大統領が1942年に発令した「大統領令9066号」が、西海岸に住む日系人たちの強制収容の引き金となりました。当時、アイクさんは14歳でしたが、自分たち日系人に何が起きているか、分かっていたのでしょうか。

いいえ、分かりませんでした。両親は子どもたちには心配させたくなかったようなので、何も話しませんでした。父は日系人農家が多いエルモンテで種物屋を営んでいましたが、私の家はロサンゼルス市近くだったので私の友人はみんな白人でした。そんな中で「私たち日系人が他の人とは違うんだ」と感じたことは、それまで全くありませんでしたし、「自分は日系人だ」と強く意識したこともありませんでした。だからなおさら事態を理解できませんでした。

―日米開戦直後に日系人リーダーたちはFBIに逮捕されましたが、アイクさんのお父様はどうでしたか。

父はインペリアルバレーにいた時、日本人協会の書記をしていましたが、日系人リーダーではありませんでしたから逮捕されず、戦後、家族はずっと一緒でした。日系農家の一世たちは英語が不自由な人もいたので、父が白人の地主とリースのことでやりとりする時などは通訳をしていました。

―以前、リー・ハヤシさん(vol.38参照)にインタビューした際に、同じ日系リーダーでも仏教徒は逮捕されてキリスト教徒は逮捕されなかったと聞きました。ハヤシさんのお父様はキリスト教の牧師でリーダーの一人でしたが逮捕されませんでした。

仏教徒とキリスト教徒では、アメリカ政府の対応がとても違ったと思います。なぜなら仏教寺院は日本と強い絆を持っていました。お寺が経営する日本語学校の先生は、学習内容を日本から提供されていました。そこでは、大日本帝国が提供する教材を使って皇民化教育が行われました。天皇崇拝、日本人としての振る舞い、日本の道徳、日本への忠誠などが、アメリカ生まれの日系二世に教えられていました。だから、戦時中にアメリカ政府が日系人に行った忠誠登録の質問28問目に「あなたは合衆国に忠誠を誓い、国内外におけるいかなる攻撃に対しても合衆国を忠実に守り、かつ日本国天皇、外国政府・団体への忠節・従順を誓って否定しますか?」とあったのです。これに対して、日系人は「はい」「いいえ」で答えなければなりませんでした。
 この質問は二世にとって矛盾した質問ですが、仏教寺院の日本語学校が二世に皇民化教育を行う役割を担っていたという背景もありました。この点で仏教徒はキリスト教徒とは異なった扱いをアメリカ政府によって受けました。
 私たち兄弟が日本語学校へ行かなかった理由は、私たち家族がキリスト教徒だったからということではありません。父は日本に帰国するつもりが毛頭なかったので、他の出稼ぎに来た日系一世を両親に持つ二世のように、将来、日本語を使うことはないので学ぶ必要がないと考えていたからです。


―アイクさんのご家族はアセンブリーセンターはどちらに行きましたか。

私たちはポモナのフェアグランドに行きました。現在ではLAカウンティフェアが開催されている所ですよ。そこにバラックが建てられて数ヶ月過ごしました。それからワイオミング州のハートマウンテンに電車で4日間かけて移動しました。他の電車が来れば停車して行き過ぎるのを待ってと、とてものろかったです。各車両には軍の警察が同乗していて、停車しても下車できませんでした。夜も横にはなれずにずっと座ったままで、快適ではありませんでした。

戦前の自分はもういない

―収容所の生活はどんな感じでしたか。

若者たちにとってはまあまあでした。ある意味、新しい冒険でしたし新しい友だちもできました。収容所で私はボーイスカウトの活動を始めて、今現在JANMでボランティア・ガイドをしているビル・シシマ(vol.16&vol.17参照)とも知り合いました。
 収容所は日系人だけが収容されていて、私は人生で初めて「自分は日系人なんだな」と実感しました。それまでは白人の友人しかいなかったので、「自分が日系人だ」と感じたことがありませんでしたからね。
 今、振り返ると、両親にとってはとても大変な時期だったと思います。父も母も築き上げたものをほとんど失っただけではなく、突然、非難されて、収容所に連れて行かれてしまった。両親はとても傷つきました。アメリカに忠誠を誓い、犯罪歴もなく、一生懸命働いていたにもかかわらず、強制収容されたことを恥ずかしいと両親は思っていました。


―強制収容は、14歳という多感な時期のアイクさんに、どんな影響を及ぼしましたか。

ハートマウンテンに行く前は、白人の友人たちばかりで「自分が他と違う」と感じもしませんでしたし、「あなたは他とは違います」というように扱われたことがありませんでした。強制収容の体験で、「自分は日系人でマイノリティなんだ、他の人とは違うんだ」と感じるようになりました。そして「私は日系人だ」と意識するようになりました。
 また、誰かが攻撃してくるんじゃないか、誰かに差別されるんじゃないか、誰かが自分に何かしてくるんじゃないかと懐疑的にもなりました。戦前にこんな感じはなかったんですよ。今、現在も懐疑的です。マイノリティの人々には、差別はいつもどこかに潜んでいると思っています。
 強制収容の体験で私はとても敏感になり、いつも自分を守るために準備するようになりました。もし誰から「あなたは誰ですか?」と尋ねられたら「私はアメリカ人です」と答えられるようにするとかね。おそらく多くの日系人が、強制収容の体験の後、敏感になったのではないでしょうか。
 収容所での3、4年間は、私にとって転換期でした。事態をきちんと理解し、収容所から出たら差別がはびこる世界で、「私たちを嫌いだ」と言っている人々に囲まれながら生きていくことは大変だろうと思い、それに対して私は準備しなければなりませんでした。


写真・文・構成 Tomomi Kanemaru

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JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。

100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)

★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
213-830-5645

2014/11/29 掲載

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