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特集記事



JANMへ行こう!! vol.45 - 誰も語らなかった家族と自分の歴史を学ぶ二世と三世


今月のボランティア
ジャネット・チカミ・モロニーさん
アイリーン・クニエ・ナカガワさん

ジャネット・チカミ・モロニー(右)ダウニー生まれの日系三世。 「ちかみ」という力士の養父を持つ熊本県出身の父方の祖父は1898年12月14日にサンフランシスコに到着し、1903年に写真花嫁の祖母と結婚。1942年、チカミ家族はハートマウンテン収容所へ送られた。引退後、JANMでボランティアを始めた。

アイリーン・クニエ・ナカガワ(旧姓オカダ)(左)イースト・ロサンゼルス生まれの日系二世。奈良出身の父と大阪出身の母を持つ。マンザナの収容所に送られた。教師を引退後、2004年にJANMでボランティアを始めた。



ジャネットさんに聞く

―ジャネットさんは、JANMを訪問する前に日系移民や第二次世界大戦中の日系人の体験を知っていましたか。

いいえ、大戦中に日系人に何が起きたのか、私はよく知りませんでした。私が学生の頃は戦中の日系人の体験は教科書にも書かれていませんでした。アメリカに強制収容所が存在した事実さえ語られたことはありませんでした。
私の両親や親戚は収容所での生活について、ほとんど話しません。私が知っていたのは、彼らが収容所で友人を作ったことだけでした。私の二人のおじは、MISや日系人部隊442に所属して戦地にも行きましたが、彼らも何も話しませんでした。
唯一私に話をしてくれた叔母は15歳で収容所へ送られて収容所内ではダンスをしたりしていたようです。多くの子供たちは何が起きたのか全く分からず、新しい友だちを作ったりして生活を楽しんでいたようです。
しかし大人たちは、将来についてとても心配だったことでしょう。彼らの胸中を計り知ることはできませんが、「残してきた家やビジネスはどうなるのか」「どれくらいの期間、収容されるのか」「戦争が終わったら、一体どうなるのか」「戦後、家に戻れてもコミュニティは日系人を受け入れてくれるだろうか」「子供たちは差別されるだろうか」など、不安だったろうと思います。


―日系人の方でも収容所について「JANMに来るまで聞いたことがなかった」という方もいらっしゃいますね。小さい頃に収容所に入った二世や三世は記憶さえないそうです。 ジャネットさんが、ボランティアを始めたきっかけは何ですか。

1999年、私は母と一緒にJANMを訪問しました。館内を歩いているとガイドの方が声をかけてくださり、案内をしてくださいました。その時にボランティア・プログラムについても聞きました。ちょうどその頃、私の末の子供が高校を卒業して時間ができたこともあり、ボランティアを始めました。やはり私自身の歴史と大戦中の日系人についてもっと勉強しなければと感じていたからです。他のボランティアやスタッフから話を聞けて、学ぶことが多いです。

―JANMでのボランティアは「非常に勉強になる」と、みなさん、おっしゃいます。
 ところで、10月5日(日)午前10時から開催される「心クラフト・ブティック」はジャネットさんの発案だそうですね。


6年前に、JANM理事長、アーニー・ドイザキさんから「ボランティアの皆さんがJANMのためにできるファンドレージングのイベントは何かありますか?」と聞かれて、以前から考えていたブティックの話をしました。するとドイザキ理事長は「それをやろう!」と言って、それから私がこのイベントの責任者になり、ボランティア有志による「心タスク・グループ」を結成しました。ボランティアが企画運営を行い、2009年を皮切りに毎年開催して、今年で6回目です。く

―「心クラフト・ブティック」には50のクラフトショップが出店し品質の良いクラフトを販売する大きなイベントだそうですね。 このようなイベントを思いつき、実行するとはすごいですね。

「心タスク・グループ」のボランティアメンバーの働きが素晴らしいんですよ!
私は子供の学校や他の団体でファンドレージングのイベントに長年携わり経験がありました。これを生かしてJANMでは、「Operational Support Committee(OSC)」に所属しています。ボランティアやスタッフの倫理観を高めるようなイベント、ホリデーパーティ、二世ウィークパレードや音頭、著しい貢献をしたボランティアへの賞の授与式などを企画しています。
JANMは、「多様性と寛容」そして「日系人が戦中に体験したことを二度と繰り返してはいけない」とアメリカ国内や海外から来た学生たちに教育しています。「心クラフト・ブティック」はJANMの教育プログラムを支援したいというボランティアたちの気持ちを反映したイベントなのです。



アイリーンさんに聞く

―アイリーンさんは、ジャネットさんからOSCに誘われたそうですが、いつ、JANMでボランティアを始めたのですか。

2004年です。教師を引退した年の夏、スポーツの展覧会を見るためにJANMに初めて行きました。展示を見終わり館内を歩いていたら、「コモン・グラウンド」という日系移民史が展示されているセクションにたどり着きました。展示物を見ながら、私は自分自身の幼少期の体験について何も知らなかったという事実に愕然としたんです。私はマンザナの収容所に家族と送られましたが、小さすぎて何も覚えていません。両親も話してくれなかったので、あまりよく知らなかったのです。
マンザナの収容所やそこで生活する日系人の写真を見たことがありました。荒れ地に建てられた収容所でも日系人たちは笑顔でした。それを見て私は、辛い時だからこそ「我慢」して、できる限りの最善を尽くしたのだろうと、当時の日系人に思いを馳せました。
JANM訪問後、第二次世界大戦の前中後の日本人や日系人についてもっと学びたいという気持ちが強くなりました。けれど母はすでに他界していて教えてくれる人がいません。そこでJANMが提供しているボランティア・ガイド養成クラスを受講して、ボランティアになりました。
ジャネットからOSCに誘われたのは、2005年頃でした。とても楽しそうだったので、参加することにしました。ここ4年間、責任者を務めています。


―ボランティアを始めていかがですか。

私はJANMでボランティアをするのが大好きですし、とても勉強になります。
私たちの役割は、自分たちが学んだことを次世代に渡していくことです。私たちの両親の世代の一世たちは、偏見や偏狭、不正義に耐えてきました。彼らは持っている権利も剥奪されました。日系人の経験を一人でも多くの方と分かち合うことが必要です。そうすれば、同じ過ちが二度と起こらないと考えるからです。



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写真・文・構成 Tomomi Kanemaru



JANMに行くと日刊サン読者にプレゼント!

入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、『ワシントンへの道 ~米国日系社会の先駆者 ダニエル・イノウエ議員の軌跡 ~』と『知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人』の2つの日系移民史ドキュメンタリーが入ったDVDを特別プレゼント。昨年末に亡くなった大統領継承順位第3位のイノウエ議員のインタビュー入り。非売品なので貴重なDVD!
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。




JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。

100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)

★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
213-830-5645

2014/10/04 掲載


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