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日系社会のフロンティアを尋ねる vol.9 - デニス・M・オガワ ハワイ大学アメリカ人研究教授
日系社会で活躍するリーダーと各界で活躍する日系リーダーを尋ねるシリーズ。第9回は、ハワイ大学アメリカ人研究教授、デニス・M・オガワ氏にインタビューした。

デニス・M・オガワ

第二次世界大戦中、マンザナ日系強制収容所で生まれる。現在、ハワイ大学教授。Nippon Golden Network代表。日系アメリカ人研究の先駆者の一人。Nitto Tireがプロデュースした日系アメリカ人史ドキュメンタリー「Our Heroes」に携わる。著書多数。



ハワイにマジョリティはいない

—日系アメリカ人について研究をされていますが、どんなきっかけでこの分野に入ったのでしょうか。

私は、第二次世界大戦中、日系人が強制収容されたマンザナ収容所の生まれです。育ったのはサンタモニカの貧しい地区で、そこは富裕層が暮らす地区で働くアフリカ系アメリカ人やラテン系アメリカ人たち労働者の居住地でした。私の友人のほとんどがアフリカ系アメリカ人でした。
1960年代にはアフリカ系アメリカ人の公民権運動が始まって、UCLAの大学院生だった私は友人たちと公民権運動について意見を交わしました。またマイノリティについても意識し始めていました。
大学入学時の私の専攻は体育でしたが、友人たちの影響もあってアフリカ系アメリカ人研究に関心を持ち、そのうちアジア系アメリカ人研究に興味が出てきました。1969年には、UCLA社会学者のハリー・キタノ教授が日系アメリカ人についての初めての著書『Japanese Americans: The Evolution of a Subculture (1969)』を出版して、これが大ブレークしました。それまでは「『日系アメリカ人』は真剣に研究するに値しない」と考えられていましたが、UCバークレーでは学生運動が起こり、アメリカ人はマイノリティに注目をし始めていました。
私はキタノ教授と知り合ってからというもの、日系アメリカ人研究に没頭し、最終的にUCLAアジア系アメリカ人研究センターの創立者の一人となりました。そして25歳で博士号をとった私は、今度はハワイ大学で働き始め、エスニック研究プログラムの学部長に就任しました。その頃の人類学の分野は白人の研究者がほとんどで、日系人や中国系アメリカ人などのアジア系アメリカ人の研究者は珍しかったです。「アジア系アメリカ人の学者が、白人の学者よりアメリカについて良いものが書けるわけがない」という考え方が一般的だった時代でしたから、私にとって挑戦でしたね。


—ハワイの日系人とアメリカ本土の日系人の違いは何でしょうか。

ハワイの日系人とアメリカ本土の日系人の違いは何でしょうか。  ハワイの日系人はマイノリティではありませんよ。ハワイ住民にマイノリティは存在しません。50%以上が白人ではないですし、すべてが混ざり合って多様性があります。ハワイでは“ローカル文化”というものがあります。「ローカル」の意味は、日系、中国系などは関係なく、「ハワイはあなたのふるさと」ということです。ハワイ大学の学生はほとんどがハワイ生まれで育ちもハワイ。住んでいる家は、祖父母が暮らしていた家だったりします。異人種間の結婚も多いです。 一方、本土では「コミュニティの中にいることを心地よく感じるためにマジョリティでいなければならない」という感じがします。例えば、白人が多く住む地区は、より安全できれいな感じがして、より良い教育が受けられるとか、人は考えているのではないでしょうか。
ハワイにも素晴しいコミュニティがありますが、マジョリティが存在しないので、一つの肌の色がマジョリティになることもないし、一つのグループがマジョリティになることもないです。


—日系アメリカ人と日本人の未来の関係についてどうお考えですか?

日本とハワイの共通点は、人々が一緒に働き、源は海であること。ハワイにはたくさんの神様がいますし、日本にも万の神様がいます。
ハワイは、日本にとってアメリカへの玄関口となっています。日本からの移民もまずハワイに来ました。しょうゆ、寿司、酒、刺身などをアメリカで最初に食べたのはハワイの人たちです。カラオケやテレビ番組の「料理の鉄人」「ドラゴンボールG」なども同様です。ハワイで字幕が付けられた日本のテレビ番組をビデオに録画し、アメリカ本土の友人や知人に郵送したことで、日本文化がアメリカ全土に広がりました。ハワイは小さいので、日本企業にとって商品を試すのに最適でしょう。
現在もハワイはアバンギャルド(前衛的・革新的)だと思います。特に国際結婚をする日本人女性にとって、人種が混ざった子供をハワイで育てるのは気が楽で、子育てもしやすいでしょう。
海外で暮らしたことがない日本人にとってハワイは良い環境でしょう。特に若い日本人女性で海外へ行きたい人が増えているそうですね。なぜならば、日本に女性の未来があると思えないからです。ハワイは、周りが日本人だけではないことに慣れるには良い入り口です。人と人の基本的関係を学ぶ場所には最適です。日本人は、人種が混ざり合い多様化することに繊細なので、ハワイはとても重要な学びの場所です。
またハワイには、再生可能なエネルギーがあります。持続可能という点で、自然と近い関係で働く方法もあるのは日本と同じでしょう。日系人と日本人が一緒に働いたら、とても面白いことになると思います。


歴史は人のドラマ

—歴史とは、人間にとってどんな意味がありますか。 歴史家として言えるのは、過去の過ちから学ぶことができます。歴史を学ばなければ、歴史を覚えなければ、きっとまた同じ過ちを繰り返すでしょう。例えば、第二次世界大戦の時の日系人部隊442については、これは正義のためでした。また同じことがあってはなりません。だから歴史はとても重要です。人は、ある角度から向上しようとし、次世代のためにより良い社会を作ろうと努力します。

また歴史は人のドラマです。歴史とは日時でも、政治でも、力でも、性別でも、制度上についてでもありません。歴史は、人生において決断を下した男と女のことです。例を挙げましょう。私は、ある時、90歳ほどの日系一世の夫婦にインタビューをしました。彼らは農業を営んでいました。「60年以上も結婚しているなかで、どの瞬間が一番大切な瞬間でしたか」と質問しました。
彼らが農業を始めた土地には、たくさんの岩がありました。長い時間をかけて大きな岩を動かしました。そこには本当に大きな岩があって、夫婦はそれを動かそうとしました。1日まるまるかけて、1インチだけ岩を動かすことができました。彼らはとても幸せだったそうです。なぜなら彼らは岩を動かすことができたからです。これが彼らに取って一番大切な瞬間だったのです。
これは日系一世にあるスピリットです。「一握りの砂も積み上げれば、やがて山となる」。人生で、一歩ずつ歩き、全力を尽くす。これが、日系一世たちが語る話です。
私の学生たちは、このような話をよく覚えています。この話は「人生において簡単にできることは何もない」と学ぶためのレッスンです。一段一段登り、全力を尽くす。この高齢の夫婦は、1インチだけ岩を動かしただけで、バカじゃないかと思うかもしれないけれど、哲学としては、価値があります。
私の仕事はたくさんあり、時にはフラストレーションを感じますが、一段一段進み、全力を尽くします。これが歴史というものです。私はこの高齢の夫婦から歴史を学びました。歴史からのレッスンというのは、人間ドラマ以上のものがあります。ある話はとても悲しいです。けれど、これも重要です。
学生にある特定の価値を説明をするのに、歴史は役に立ちます。この与えられた環境で、いかに生き抜くのか、いかに継続していくのか。学生は、この話を聞けば、もっと感じるでしょう。歴史は価値のある道具です。


—ご自身の知識とバックグラウンドを、今後の日米関係にどのようにいかしていきますか。

Japanese Cultural Center of Hawaii より "Leadership and Achievement Award" を授与されたオガワ教授(中央) = 2007年9月
現在、私は米日カウンシルのプロジェクトに関わっています。今年は日本政府が奨学金を出して、22人のハワイ大学の学生が訪日します。また同時にハワイ大学は、22人の日本人学生をアメリカに招待します。こちらも基本的な費用は日本政府がカバーします。これは故ダニエル・イノウエ上院議員を偲んでのプロジェクトで、日本を紹介するだけでなく日本人学生との交流を持ち、人と人の交流がメインです。
もう一つは、この2、3年で、ご存命中の日系二世の方々のお話を記録します。歴史はとても重要だからです。聞いておかないと、忘れてしまう。私は、今でも日系二世のインタビューをしています。ある特定の重要な記憶を子孫まで受け継ぐためです。子供たちが覚えているためにです。今後はこの二つに力を注ぎたいと思います。



=Tomomi Kanemaru

2014/07/19 掲載

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