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日系社会のフロンティアを尋ねる vol.1 - グレッグ・W・キムラ JANM館長兼CEO
日系社会で活躍するリーダーと各界で活躍する日系リーダーを尋ねるシリーズ。第1回目は、Japanese American National Museum(JANM:全米日系人博物館)の館長、グレッグ・W・キムラ氏にインタビューした。


グレッグ・W・キムラ JANM館長兼CEO

グレッグ・W・キムラ アラスカ州出身44歳。日系四世。ハーバード大学神学修士号、ケンブリッジ大学宗教哲学博士号取得。24歳で英国国教会の牧師になる。2012年2月にJANM館長兼CEOに就任。前職は、非営利団体「アラスカ・ヒューマニティーズ・フォーラム」会長兼CEO。



今は日本文化がクール

—キムラ館長は日系四世ですね。ご家族について教えてください。

曾祖父は長崎からの移民で、アラスカ鉄道を建設するためにアラスカに移住しました。祖父のウィリアム・キムラは日本で教育を受けた帰米二世です。父がスイス系アメリカ人の母と結婚したので、人種的に私はハパ(ハーフ)です。父は強制収容所内で生まれました。日本人を祖先に持った人達はアメリカ市民でも収容所に入れられました。

—「アメリカ人」ではなく「日系アメリカ人」と呼ばれることに特別な思いはありますか。

日本に祖先を持つことに深い感覚的なところでつながりを感じます。私の感覚は祖父母からの影響があると思います。例えば、自然を通しての姿勢、さまざまな宗教の信仰を合体させて信じるところ、芸術的な統計センスなど、とても影響を受けました。私にとって日本は外国の文化だったにもかかわらず、世代を超えて結ばれてきました。

―アメリカの子供たちは、いつ頃、人種や民族を意識し始めますか。

育っていく中で、自分が誰なのかを理解します。たいてい他の人が違いを指摘します。おそらく小学生で、自分が自分を見ているように、人は自分を見ていないと知るでしょう。
 私には11歳になる息子がいますが、私より日本語を知っています。私が子供の時より、彼は日本や他の文化をもっと理解するでしょう。
 私は1980年代に育ちました。その頃、 日本が経済的に成功したことに対して多くのアンチ日本の動きがありました。私が子供の頃は、日本がクールとは思われていませんでした。日本車にしても日本のバイクにしても、人はネガティブなことを言いました。
 今や“日本製”というと高性能なものというイメージです。壊れない!エクセレント!アメリカでは日本文化はクールになっています。
 JANMでは、ハローキティの展覧会をこれから開催しますが、JANMブランドのハローキティをデザインしました。こけしスタイルです。クールですよ。このような変化を、私は非常に喜んでいます。


多様文化の社会へ

—キムラ館長の子供の頃と現在では、社会が全く違いますね。文化は、人種や民族をどう見るかということに影響を与えているようです。

JANMが伝えたいのは、あなたも多様なアメリカ人になれる、アメリカ人でいることは、ある特定の見方でしか見ないということではない、ということです。あなたは、白系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、日系アメリカ人でもあり、全て平等にアメリカ人なのです。
日本とは全く違いますよね。今世紀のアメリカは、もっと多様な文化の社会へと成長しようとしています。JANMの部分的なゴールは、大いなる理解を確実にすることです。


—キムラ館長は英国国教会の牧師で、ハーバードでは禅仏教について修士論文を書き、ケンブリッジでは西洋哲学を勉強したそうですね。

私のアカデミックな興味は、私が日系アメリカ人として育った経験と関係しています。特に修士課程で禅を勉強したことはね。白系アメリカ人と日系アメリカ人の家族を持つと、半分はクリスチャンで半分が仏教徒です。文化的な理解が強要されます。どのように文化はつながっているのか、交差してるのか、合体しているのか。また、どのように違うのか。
日系アメリカ人として育ったことによって、より民族的な多様性や違いを意識するようになりました。アカデミックレベルでは、私のミックスした民族的なバックグラウンドが知的な興味を奮起させました。そして、今日の仕事にも影響を与えています。


JANMのメッセージ

—JANM館長への就任依頼があった時、どんなお気持ちでしたか。

キムラ家  Photo by Tomo Kawate
とてもエキサイトしました。同時に私はとても謙虚になりました。とても嬉しくて感謝だけでした。
私の祖父が生きていたらと思いましたね。私の祖父母たちが通ってきた差別や偏見を考えると、彼らは苦しんだでしょうね。祖父母は子供、孫、ひ孫はチャンスのあるアメリカで生きていくだろうと思っていたでしょう。私がこのようなポジションに就任したのを見たら、きっと祖父は誇りに思ってくれたでしょう。
最初、JANMがハパの私を雇うとは想像していなかったので、とても驚きました。おそらくJANMの理事達は、日系アメリカ人のコミュニティーの活動力が変化していることを理解したのでしょう。私たちがミックスされたバックグラウンドを持つマジョリティになる日は遠くないでしょう。現実にすでに始まっています。


—JANMのゴールを教えてください。

JANMのゴールは、日系アメリカ人のストーリーを若い世代や日系アメリカ人に伝えることです。そして同時にJANMは多様性への大いなる理解を促進する会館なので、私たちは日系コミュニティーの外にも働きかける必要があります。日系アメリカ人でない方たちが、日系史をアメリカ史の重要なストーリーとして理解するかどうかを確認します。
JANMは第二次世界大戦中などの日系アメリカ人に対する偏見や差別を伝えるのがメインですが、もう一つあります。悲劇や人種差別にあっても辛抱強さと克服があるというのが重要なメッセージです。


表面的な興味が入口

—日系アメリカ人コミュニティーの将来については。

最近、私が編集してイントロダクションを書いた写真集『I AM ALASKAN』です。アラスカの写真集と言えば山や自然ですが、そういう写真集に飽きてしまいました。ここには人々が写っています。私がお見せしたいのは多様なアラスカの文化です
ある人が「コミュニティーは死にかけている」と言いました。私は「日系コミュニティーは大きくはならない」と言いました。コミュニティーはミックスしたバックグラウンドを持つ人種を含まなければなりません。失うことより成長と強さに目を向けましょう。もし失うことについて考えるのなら、どの民族にも言えることです。なぜならアメリカは多様文化の国なのですから。
日系コミュニティーは、アイルランド系アメリカ人のようにならなければなりません。どんなにアイルランドの血が薄くなろうと、6世だろうと、セントパトリックス ・デーはアイルランド人の祝日です。そして伝統を誇りに思っています。セントパトリックス・デーに、人々は表面上だけれどアイルランド人に興味を持ちます。
これと同じで、人々は寿司やカラオケ、ハローキティに、その文化やバックグランドに表面的に薄くですが、興味を持ちます。このような姿勢を批判するよりは使った方がいいです。表面上でも人を引きつけて、伝統やバックグランドについてもう少し深く考えてもらいます。いいことです。これがJANMの役割です。
100%日本人だろうが、日本人じゃなかろうが、歴史的に日本人だろうが関係ありません。これは、日系アメリカ人の歴史とストーリーへの入り口にすぎないのですから。
日本人には、豊かな伝統と豊かな文化を持つ日系人という“親戚”を誇りに思っていただきたいです。私たちは、日本が達成してきたことを非常に誇りに感じています。日米は海で分かれていますが、私たちは何世代も超えて日本からの伝統や遺産に感謝しています。


—JANMで達成したいことは。

日系アメリカ人に幾度でも訪問していただけるような興味深いプログラムや展覧会を用意します。特に日系アメリカ人には、遺産や伝統、バックグランド、アイデンティティを学び理解していただきたいです。収容所などの日系史の重要なストーリーを保存して感謝の気持をなくさないようにしていきます。外見で偏見を持ったり差別をしたりしないよう、全ての人に来ていただける博物館にしたいです。

=Tomomi Kanemaru




2013/11/09 掲載

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