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特集記事



JANMへ行こう!! vol.18 - 過酷な環境でも生き抜く知恵と力を学ぶ
今月のガイド
ロイ・カクダさん

1939年、オレンジ郡生まれの日系三世。アリゾナ州ポストンの収容所に送られる。JPL(Jet Propulsion Laboratory:ジェット推進研究所)を退職し、JANMでボランティアを始める。たくさんの家族写真や資料を入れたiPadを駆使し、訪問者を楽しませる陽気なガイド。現在はポストン収容所の映画を制作中と話す。



—ロイさんはJANMでのツアーで、iPadを使ってカクダ家の移民当時の写真などを見せながらお話すると聞きました。

「写真を見せながら、僕の祖父の話をしたりするんだよ。祖父がアメリカに来た理由とかね。僕の父方の祖父は、1903年、広島からマウイ島に行った。サトウキビ畑で働くためにね。日当は75セント。祖父は金持ちになるというアメリカンドリームを持っていたから、マウイ島からオレンジ群ガーデングローブに移って、チリ農場で働いた。当時は、白人、黒人、インディアンだけがアメリカ国民になれた。アメリカ国民じゃなければ、土地も持てないしビジネスオーナーにもなれない。だから祖父は車を買って素敵な洋服を着た。その後、祖父は『アメリカ国民でない』のを理由に財産が没収されるかもと思って広島へ帰ったんだ。祖母が亡くなった後、父だけが三陽高校の友達とアメリカに戻ってきた。父は帰米二世だよ」

—一生懸命働いてアメリカンドリームを叶えた一世達も多かったそうですね。それが戦争で一変した。当時のことを覚えてますか。s

「収容所に送られた時、僕は2歳だった。集合場所で男と女・子供というふうに別々にバスに乗せられた。ガンを持ったガードが女性達にカーテンを閉めるように言った。カーテンを閉めたとたん、皆が泣き始めたよ。僕は母に『なんで泣いているの?』って聞いたんだ。あと覚えてるのは、収容所が暑かったってこと(笑)」

ポストンでのバラックの階段から子供を見る男性(Fred Clark,Courtesy of National Archives)
―ポストンは砂漠地帯で夏の気温は47度ですよね…。

「ポストン収容所は3つに分けられて、1番はRoasten、2番はToasten、3番はDustenって呼ばれてた(笑)。すごい暑さでバラックには二重に屋根が付けられた。僕の父は家の下に穴蔵を掘って、子供達はそこで昼寝した。両親は棒でヘビやサソリから僕達を守ったよ。
 穴を掘ったら大量の土が出たから、今度は皆で日本庭園を造ったんだ。コロラド川から水を引くために運河も作った。庭園ができて木々が育つと、もう穴蔵に入らなくても涼しかった」


―逆境でも過酷な生活環境でも生き抜く知恵と力を、日系アメリカ人の方たちから学びたいです。



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もっと知ってJapanese American!

「スペシャリスト達によるJANM体験ツアー1」

日米で活躍中の各分野のスペシャリスト4人にJANMのツアーを体験してもらった。それぞれの違った視点から得た感想を語ってもらう。参加者は、日本語学園協同システム学園長の田中さん、八巻空手代表師範の八巻さん、女子プロアメフトプレイヤーの鈴木さん、唯一日本から参加の財団法人スマイルセラピー協会会長のマックさん。JANMのボランティアガイドは田島さん。

JANMの常設展は、明治時代の一世の渡米から現在まで百年以上の日系史を紹介している。歴史を物語る一つ一つの展示品や写真のコレクションは全米各地から集められている。ツアーは一世の渡米を紹介する展示から始まった。


マック「一世達の出身地はバラバラだったんですか?」

田島「農村地からが多かったです。広島、和歌山、三重、九州では福岡、鹿児島などの出身が多かったですね」

日本人出てゆけ!(1920年)Courtesy of National Japanese American Historical Society
田中さんが見入ったのは、白人達によって”No Japs!”というサインが掲げられた写真展示。

田中「1907年にサンフランシスコで児童隔離問題があって、日本人の子供は現地の公立学校へ行ってはいけないというのがありました。実は日本語学校は、最初は日本語を学ぶためではなく、皮肉にも英語を学ぶための学校だったんです」

さまざまな人種差別を受けながらも、一世は二世を必死に育て、やがて活発なコミュニティーを形成していった。展示品や映像記録がその様子を物語る。
鈴木さんが展示されている日系人のアメフト選手の写真に目を留めた。



ハワイで最初の日本人小学校(1896年)Courtesy of Bishop Museum
鈴木「日系社会ではフットボールも盛んだったんですね」

田島「スポーツは盛んでした。二世はアメリカで生まれましたから、アメリカ文化に親しんでいました」

鈴木「アメフト史の貴重な資料ですね。当時、アメリカに日系人だけのチームがあったことにビックリです」

八巻「空手もありましたか?」

田島「あったと思います。ただ空手は日本でも明治以降に広まった武道だと思いますので、柔道、剣道ほどではなかったと思いますが」

八巻「自分が練習を教えてても、今でも日系人の生徒は学ぶ気持ちがすごいです、皆一生懸命で自分たちの文化に誇りを持っていると感じます」

マック「二世は英語ができたけど、やっぱり差別されていたんですか?」

田島「はい。結局、日系人は能力がありながらも日系コミュニティー以外で仕事を得ることはなかなかできませんでした。ただ二世は個人で家を持つことはできました」

次に、真珠湾攻撃後に日系人が受けた悲運の体験が展示されたセクションへと移動した。2へ続く。(敬称略)

八巻建志 八巻空手 代表師範
神奈川県出身、元全世界空手道選手権大会チャンピオン。
2002年渡米、八巻空手を設立。世界的な格闘技雑誌「ブラックベルト」で表紙を飾る。
現在、道場をトーランスに構える。

鈴木弘子 女子プロアメフトプレイヤー
東京都出身、2000年渡米、女子アメリカンフットボールでプロ選手第一号となる。今年度女子世界選手権で、米国代表に選ばれる。ロサンゼルス・パシフィック・ウォリアーズ所属。

マック赤坂 政治活動家、スマイルセラピー協会会長
愛知県出身、京都大学農学部卒業後、伊藤忠商事に入社。 財団法人スマイルセラピー協会会長、スマイル党総裁、レアメタル輸入販売会社マックコーポレーション社長。 これまでに東京都知事選や大阪府知事選などに出馬。

全米日系人博物館 案内人
田島喜八郎
日本生まれの新1世。福岡出身県、1968年に渡米、
全米日系人博物館では3年前からボランティアガイド。



写真・文 JUNZO ARAI, TOMOMI KANEMARU, 監修 MITSUE WATANABE(JANM)


JANMに行くと日刊サン読者にプレゼント!

入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、『ワシントンへの道 ~米国日系社会の先駆者 ダニエル・イノウエ議員の軌跡 ~』と『知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人』の2つの日系移民史ドキュメンタリーが入ったDVDを特別プレゼント。昨年末に亡くなった大統領継承順位第3位のイノウエ議員のインタビュー入り。非売品なので貴重なDVD!
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。




JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。

100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)

★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
213-830-5645

2013/11/02 掲載

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