JANMへ行こう!! vol.11 - “繰り返してはならない過ちが何か”を学ぶ
今月のガイドネイハン•グラックさん
アメリカ陸軍出身。カリフォルニア州ロサンゼルス市役所にて36年間勤務し、リタイア後、JANMにてボランティアを開始。今年でボランティア19年目。
—ネイハンさんのガイドがとても人気だと聞きました。どのようなことにフォーカスを当ててお話するのですか。
「僕は、JANMを訪問する人達の世代やバックグラウンドに沿った分かりやすい情報を提供しようと心がけている。高校生向けであれば、少し難しい「人種差別」をテーマに、1800年代の人種差別の開始から、1885年のハワイの日系人の話、そして第二次世界大戦にまつわる日系兵士の話、という流れで話すことが多い。
その中で、アメリカ政府が打ち出した理不尽な移民法の話をするんだ。帰化が「Free Whites Only」とされた時代から、黒人差別、そしてその開放への動き。
でも、毎回のように、一番生徒が驚くのは、日系人の帰化が許されたのが、その何十年も後の1952年だという事実だ。僕からすると、非常に最近の話だよ。
人種差別というテーマは長い時間軸で存在していたにも関わらず、日系移民の苦悩にはあまりスポットライトが当たってこなかった。だからこそ、今、より多くの人に日系移民の歴史を知ってほしいと思っているんだ」
—歴史から学び、倫理観のある国際的な視点を育んでほしい、ということが、ネイハンさんからのメッセージなのですね。
「JANMの目的に掲げられているように、日系移民の歴史とその事実から、『繰り返してはいけない過ちとは何か』『人種とは何か』を考えてほしいと思っている。
思い出深いエピソードとしては、もうだいぶ昔のことだけど、毎年開催されている二世ウィーククィーンのコンテストで優勝した女性が、彼女自身のバックグラウンドである日系史について、何も知らなかったという出来事。その時、同じくJANMのボランティア・ガイドの鮫島等さんが、『美しさは外見だけでなく、中身も知ること』と名言を言った。
それ以来、鮫島さんを中心として、毎年、二世ウィーククィーンに選ばれた人とその家族をJANMに招待している。僕はその考えに大賛成だよ。日系移民の歴史事実と彼らの美しい「Code of Ethic(倫理観)」と努力は、後世に残すべく素晴らしい勉強モデルだと思う」
—多人種の人々が住むアメリカで暮らす私たちにとって、日系移民の方たちの歴史は、とても関係が深いと言えます。「アメリカ史」としてではなく、「もっとも身近な歴史」として学びたいです。
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もっと知ってJapanese American!
「二世ウィーク祭り開催地、リトル東京散策①」
ハリウッド俳優&女優を目指して日本からやってきたシンとキキ。今回、二人で「リトル東京」を散策!
Kiki Sukezane 女優。ハリウッドで歌や演技を勉強中。
ロサンゼルスのリトル東京は、全米最大の日系人街。アメリカ人にとって「日本食が食べたい」と言えばリトル東京で、ハリウッド映画の舞台にもなっていて、日系文化を代表する場所。「J−タウン」とも呼ばれる。リトル東京は、1885年に漁師の重田浜乃助が、街の一角に日本食レストランをオープンしたのが始まり。第二次大戦前までは、人々の生活の中心として栄え、最盛期は、ロサンゼルスリバーを隔てたイーストLAにまで広がっていたという。
ファーストストリート沿いに、ひときわ目立つ建造物「火の見櫓」がある。現在のリトル東京はここを中心に周囲3ブロックほどに広がる小さな街。「火の見櫓」のある「ジャパニーズ・ビレッジプラザ」は、1978年にオープン。ビレッジ内には、日本食レストラン、みやげ物屋などがたくさんある。
キキが立ちどまったお店が、ハロー・キティの専門店「サンリオ」。キティちゃんの文房具、ぬいぐるみ、バッグ、クッションなどなど。ほかに、ちょっと珍しいグッズなど、バリエーションが豊富でファンにはたまらないお店だ。
みやげ物屋は、刀、扇子、浴衣など、アメリカ人が気に入りそうな物を売る店から、日本から輸入した高級な陶磁器、日本人形などを売る店までいろいろ。
清水紳一郎(シン)俳優。TV、インディーズ映画に出演。映画・舞台で活躍。
シンが立ち寄ったのは、「みつるカフェ」。店頭では今川焼きの実演販売をしており、長蛇の列。焼きたてホクホクをほうばると「あ〜日本の味」。「みつるカフェ」は、鹿児島出身の先代オーナーが1980年代に始めた。自家製さつま揚げがとてもグッド。ラーメン、刺身、てんぷら定食など、日本食の定番メニューが食べれる老舗で、今でも、日本人や日系人たちに親しまれている。リトル東京の通りを注意深く眺めると、コスプレをした若者達がちらほらと目に付く。アニメグッズの店「ジャングル」だ。店内はコスプレ衣装のほかに、フィギュア、漫画、DVDなどがずらりと並ぶ!日本のアニメ人気にともない、週末だけで500人以上のアメリカ人客でにぎわっている。最近は若いアメリカ人アニメファン達にとって、コスプレをして、リトル東京へ繰り出すことが、楽しみとなっており、リトル東京は、秋葉原を連想させるような、アニメオタクたちの街になりつつある。お店には日本から輸入した、最新型の「プリクラ」も置かれている。
リトル東京では、8月10日(土)から18日(日)まで日系最大の夏祭り、「二世週祭(二世ウィーク祭り)」が開催される。日本と日系アメリカ人の歴史文化、伝統を祝うことを目的とし、今年で73回目。
詳細は、www.niseiweek.org
シン「リトル東京ってその昔、俺の先祖が住んでたらしい」
キキ「えーーーー!!ほんと!?」
シンから突然、重大発言が!次回「リトル東京散策パート②」で、シンの知らざれるルーツに迫る!?
写真・文 ALICE HAMA, 写真 TOMO KAWATE, 文・構成 JUNZO ARAI, TOMOMI KANEMARU, 監修 MITSUE WATANABE(JANM)
JANMに行くと日刊サン読者にプレゼント!
入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、先着50名にNITTO TIRE特製バッグを、読者来館者に日系移民史ドキュメンタリー「知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人」のDVDをプレゼント。
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。
JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。
100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)
★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
213-830-5645
2013/07/27 掲載