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コラム

キム・ホンソンの三味一体
vol.128 悲しんでいることは幸せなこと(?)

2020-02-13

 クリスチャンじゃなくても「悲しむ人々は幸いである」という聖書の一句を聞いたことのある人はいると思います。かの有名な山上の説教の中に出てくる言葉です。しかし、文字だけを目で追えば「不幸せを感じる人々は幸せだ」に聞こえて理解に苦しみます。

 私達が生きる社会では、出来るだけ悲しむ思いをしないで生きられることを幸せな人生だとし、悲しむことを避けられる選択肢をたくさん持っていればいるほど幸せな人だとされます。しかし、聖書は、若さや富、権力や社会的地位など、力と強さを表すこれらのものこそ人間を滅びに至らすと教えます。むしろ、いつかは死んでしまうに過ぎない弱い存在である自分を認め、死に対する不安と悲しみと空しさを覚える時に、私達は、はじめて救われたいと心から求めるようになる。だから自分の弱さと向き合うことこそが幸いなのだと言っているわけです。

 先日、韓国に帰り、現在入院中の母親のそばで、しばらくの間、時間を過ごして来ました。元々認知症があったうえに、脳出血も重なって、母親は言葉を失ってしまっていました。何かを言うと、うん、とはうなずくのですが、どこまで理解できているのかは誰にも分かりません。私のことを覚えているかどうかも確かでありませんでした。母親の記憶から私が消えるということは、母親にとって私は存在しなくなるということです。母親が、やがて全ての記憶を失って、認知することも、考えることも出来ないまま亡くなるだろうと考えると、不安と失望でまさに心が空っぽになっていくような感じがしました。しかし、それは母親に何もしてやれないという空しさだけじゃなくて、自分もやがて死んでいくしかない存在に過ぎないという、自分自身の姿を母親の中に見たからです。

 自分の弱さ、空しさと悲しみに向き合うとは、まさにこのような心の状態だということが分かりました。唯一の救いは、科学技術の発達でも医学の進歩でもなしに、死のその先に待っていてくださると約束してくださったキリストの言葉だけかもしれません。病室の空調が再びついて窓の薄いカーテンが動いた時、ふとその向こうに誰かの姿が見えたような気がしました。


【キムホンソン牧師の毎週の説教】
OC 復活ルーテル教会日本語部
9812 Hamilton Avenue, Huntington Beach, CA 92646
礼拝:日曜日、午前11時45分 (714)964-1912 california.lcrjm.com
 
LA 聖霊の実ルーテル教会
2706 W 182nd St Torrance, CA 90504
礼拝:日曜日、午後2時 (310) 339-9635 khs1126@gmail.com


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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キム・ホンソン

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日して滋賀県近江八幡市で過ごす。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後アメリカの大学院に留学し、1999年からリトル東京サービスセンターのソーシャルワーカーとして働く。現在、聖霊の実ルーテル教会(Fruit of the Spirit Lutheran Church)の牧師として日本語の礼拝を行いつつ「誰でもふらっと立ち寄れる人生相談」と「誰にでもわかる聖書クラス」を運営中。 2008年8月30日、リトル 東京日韓ハーモニーコンサート主催を発端に、ロサンゼルスの日系と韓国系の交流と理解のための草の根運動にも取り組んでいる。

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