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コラム

旅は呼んでいる。
vol.24 中国 〜上海〜

2019-02-21

 「上海で仕事をしてみないか?」
 外国へ行くのは、親戚の結婚式でハワイに行った以来で、英語も中国語も喋れなかったにもかかわらず、二つ返事で引き受けたのが今から十年前だった。
 
 2009年の上海は、前年のリーマン・ショックなどどこ吹く風、翌年開催予定の万博に向けて活気で満ちていた。次々と高層ビルが建設され、出来たばかりの“上海環球金融中心”には、当時世界で一番高い展望台があった。100階部分のガラス張りの床越しに見る下界の景色にはさすがに腰が引けたが、街がどんどん発展しているのを肌で感じられた。
 一方で路地裏に入ると未だスラムがあり、じきに取り壊されるのは想像に難くなかった。路上で盲目の老人が奏でていた、中国の楽器“二胡”の音色が妙にセンチメンタルに心に響いたのを覚えている。
 
 豫園や上海動物園、上海海洋水族館など一通り観光をしたが、最も印象に残っているのは、上海から高速鉄道でおよそ一時間の距離にある“西湖”。中国四大美人の一人、西施が入水したという伝説が残っている美しい景勝地だ。湖畔には中国風の東屋が建てられており、また、周囲の柳の並木がよりいっそう、一昔前の時代の中国らしい風景を醸し出していた。
 
 菓子パンとチョコレートは壊滅的に不味かったが、本場の中華料理には感動した。駐在中は、毎日小籠包や鍋貼(焼き餃子)、ちまき、ワンタンのローテーションで美味しい上に安く済ませられた。飲み物は、“王老吉”という甘いドリンクがオススメ!仙草や菊花などの漢方が入っているものの妙なクセがなく、疲れた時に飲むと効果があるような気がした。
 
 降車と同時に吐く人がいるほど荒いバスの運転。順番という概念の無い地下鉄の乗降。電動バイクと車の大渋滞、大気汚染のためマスクをつけた人々。タクシーでお釣りを誤魔化され揉めたこと…上海で『文化の違い』を目の当たりにした経験こそが、後のひとり旅の基盤となった。若いうちに海外へ行っておけ、と言ってくれた上司には心から感謝している。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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加西来夏

職業:旅する映画ラヴァー。映画の聖地であり、年中カラっとした最高の気候…世界中を旅しているけど、やっぱりL.A.が大好きです。年間視聴映画100本以上、訪問39ヵ国~。好きな言葉は“世界は驚きと奇跡に満ちている”。ご意見はkasai.laika@gmail.comまで!




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