来夏の映画観ようよ♪
vol.16 sicario: Day of the Soldado
2018-07-19
八年ほど前、観光の一環としてメキシコ・ティファナの手前まで連れて行ってもらった。日本育ちの筆者にとって、国境のフェンスは初めて目にするもので大変物珍しかったのと、その厳重さに少々畏怖の念を抱いた。が、「ここから先は、一人では危ないよ」という有難い忠告も、若く知識不足だったためか、数メートル先の街の一体何が危険なのか、あまりよく理解出来ていなかった。
カンザスシティのスーパーマーケットで、一般市民十数名が死亡する痛ましい自爆テロが発生。国土安全保障省は、メキシコの麻薬カルテルが事件の実行犯をアメリカへ密入国させたとして、CIAの特別部門責任者マット・グレイヴァーらを召集、これ以上カルテルをのさばらせない為にも、彼らの一掃を命じる。そこでマットは、以前ある誘拐事件でもタッグを組み、麻薬カルテルのボスに妻子を無残に殺された私怨を持つ兵士アレハンドロ・ギリックを呼び、再び作戦を共にする。メキシコ国内で敵対しているカルテル同士を撹乱させ、抗争を起こして自滅させるという内容で、マットとアレハンドロのチームが一方の組織の娘イザベルを誘拐し、もう一方の組織の仕業だと思い込ませようと、ひと芝居打つことになるのだが―。
前作は序盤から終盤まで張り詰めた空気感、ド派手な銃撃戦、そして何よりベニチオ・デル・トロ演じる冷徹で有能、渋くてクールな出で立ちのアレハンドロに目が釘付け!だったが、本作では彼を含めた登場人物のキャラクターに重点を置き、また、メキシコのギャングや生活事情に寄り添ったリアリティの強い描写が多かったように思う。特に、今回はCIAのマットが人を小馬鹿にしたような態度ではなく、真摯な一面が見られたので好感度がアップ。麻薬王の娘イザベルも可愛いばかりではなく、気高く勇敢で魅力的だった。
先日、トランプ大統領がメキシコとの国境の壁に16億ドルの予算を追加すると発表したが…カンクンやロスカボスなど華やかなリゾート地のイメージとのギャップが激しいものだ。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。