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コラム

キム・ホンソンの三味一体
vol.101 3年ぶりの日本、13年ぶりの韓国

2018-06-14

 今年は日本に行くことにしました。双子ボーイズが生まれた翌年に一度帰って以来なので、まるまる3年ぶりになります。長女がもうすぐ8歳で双子ボーイズも4歳になりましたので、飛行機での移動も少しは楽だろうと思っての日本行きでもありますが、実はもう一つ理由があります。

 韓国にいる私の母のことですが、数年前に認知症と診断が下って以来それまでの一人暮らしをやめて現在兄の家族と一緒に暮らしています。その兄がこの度仕事のために長期に渡って家を空けなければならなくなり、私が兄に代わって母親をケアするために、一旦日本に妻と子供達をドロップオフしてから単身で韓国に行くことにしたわけです。

 思い出してみますと、18年ほど前、まだ元気だった母が駆け出しのソーシャルワーカーだった私の様子が気になって一人で飛行機に乗ってロスに来てくれたことがありました。私も1週間ほど休みをもらって母とお出かけをしたり、僕の狭いアパートで二人とも大好きな映画を何本もレンタルして夜中まで観たり、それまで食べたかった母親の手料理を片っ端から作ってもらったりと、思い出すだけで自然と微笑んでしまうような楽しい思い出があります。

 あの時母が私にしてくれたように、今度は僕も母にしてあげたいと考えています。あの時、母が美味しいと少しでも言っていたと思う食べ物をすべて買って、母親が大好きだったサンディエゴ、カールスバッドで撮った写真と、その時に咲いていた花を持って行こうと思います。また二人で夜中まで一緒に観たDVDをまたレンタルして一緒に観たいと思っています。何もおぼえていなかったら、それはそれで新しく思い出をつくれたらと思います。

 「今度いつ来てくれるの?」「6月に行くよ。」電話をする度に繰り返すこの会話は、僕の今までの親不孝にもかかわらず僕のことを待ってくれている母のことが胸に刺さって涙が溢れ出ます。

 3人の子供達の成長を通して、無力・無知から始まる人間の成長の過程に立ち会うことが出来るのと同時に、老いた母親を通して無力・無知に戻る人間本来の姿を知ることができます。無力のうちに一人でこの世に生まれ、無力のうち一人で世を去る私達ではありますが、その虚しいとさえ思える一生の中にも確かに頼ることの出来る、導き守ってくださる神という存在があるということを知ることは、如何に慰めでしょうか。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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キム・ホンソン

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後、ケンタッキー州立大学の大学院に留学し、1999年からロサンゼルスのリトル東京サービスセンターでソーシャルワーカーとして働く。現在、性的マイノリティーをはじめすべての違いを持つ人々のための教会、聖霊の実ルーテル教会 (Torrance) と復活ルーテル教会日本語ミニストリー(OC, Huntington Beach)を兼牧中。

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