来夏の映画観ようよ♪
vol.13 犬ヶ島
2018-05-31
「幸せとは、あたたかい子犬のこと」。生後二ヶ月の子犬を迎えたいま、スヌーピーの原作者シュルツの言葉に激しく同意している。焦げたポップコーンのような肉球の匂いを嗅ぐとより幸せな気分になる…そんな犬好きにおすすめの作品がこちら。
二十年後の日本、メガ崎市では犬インフルエンザが猛威をふるっていた。人間への感染を懸念する小林市長により、飼い犬も野良犬も強制的にゴミの島、通称『犬ヶ島』へと隔離されてしまう。半年後、12歳の少年アタリは飛行機を盗んでひとり犬ヶ島に乗り込み、そこで出会ったレックス、キング、ボス、デューク、そして彼らのリーダー的存在チーフの力を借りて、大切な愛犬かつボディガードだったスポッツを探す。その頃、治療薬の開発を進めていた渡辺教授が死去。犬の隔離政策に反対する留学生のトレイシー・ウォーカーや日本人高校生がメガ崎市の動向に疑問を抱き、独自に調査を始める―。
浮世絵や歌舞伎、相撲、お茶の間にある昭和のブラウン管テレビ、一本締めの場面など、日本人でない監督が日本文化を描いたとは思えないほど自然だが、どこかデフォルメされていてそれがまた不思議で魅力的!その上、1コマ1コマ、パペットを動かして作ったというストップ・モーション技法で描かれた犬たちが生き生きとして愛くるしい。彼らに生命を吹き込む声優陣は、ドラマ“ブレイキング・バッド”で主人公を演じたブライアン・クランストンや、エドワード・ノートン、スカーレット・ヨハンソンなど実力派俳優ばかりで、犬同士の会話がやたらと人間臭く聞こえてクスッと笑ってしまう。また、アタリとスポッツの言葉が通じ合うシーンは、愛犬家ならばついホロリとしまうのでは。とにかく全編犬だらけ、一匹一匹撫でたくなるような、妙にリアルなワンちゃんたちに癒される。
もし愛犬を奪われたら半年も待たず探しに行くのに、と憤ったのはさておき。そういえばうちの子、身体を洗われる前のチーフに似ているなぁ。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。