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コラム

編集部
来羅NOW! MIHARUさん @Los Angeles

2017-09-16

IFBBビキニプロ選手 / コスプレイヤー / アジア 選手権大会フィットネスビキニ オーバーオールチャンピオン

ボディビルダーの聖地にて

 世界のプロのボディビルダーたちが所属するInternational Federation of Bodybuilding and Fitness (以下、IFBB)が、8月26日に日本のビキニ競技のMIHARU選手をプロと認定し、日本人初のビキニプロが誕生した。

 MIHARU選手は8月に来羅し、9月に行われるプロ転向後の初戦に向けてトレーニング中だ。トレーニングに通っているのがヴェニスビーチにあるゴールドジムだ。ここは世界最高峰のボディビルの大会「ミスター オリンピア」で優勝して名を馳せたアーノルド・シュワルツネガー 元カリフォルニア州知事や数々の有名なボディビルダーがトレーニングしたジムで、「ボディビルダーの 聖地」とも呼ばれている。

 「世界の有名なフィットネス選手の宝庫のようなジムには、いつ行っても自分がSNSでフォローしている人がトレーニングをしています。そういう人たちが常に視界に入る状態でトレーニングするのは、すごく刺激になります。

 日本では自分が日本とアジアのタイトルを獲ったこともあり褒められることが多かったのですが、ロサンゼルスにいると良い意味で自分が常に底辺でいられる気がします。ここからは本当に登るしかない、 成長しかないと常に感じることができるので、とても良い環境です」と話した。

 ビキニ競技はボディビル競技とは異なり、容貌、プロポーション、ウォーキングなどの全ての立ち振る舞い、筋肉のバランス、アクセサリーなど全体的な美しさを競う。日本ではまだ新しいが、競技人口は年々増加し、人気も高い。

2017年5月、「アジア・ボディビル&フィットネス選手権大会 in モンゴル」163cm以下級優勝とオーバーオール優勝

プロへの道は一つではない

 2017年5月、MIHIARU選手は「アジア・ボディビル&フィットネス選手権大会 in モンゴル」でフィッ トネスビキニ163cm以下級で優勝し、同種目オーバーオー ル(総合)でも優勝した。

 表彰式後、ステージから降りてきたMIHARU選手に大会審査員を務めたIFBB会長のサントンハ氏 が、「素晴らしいステージだった。あなたはプロになりたいですか?今すぐにプロになるか、または年末の世界選手権・来年のエリートカップに出場をしてプロになるか、どちらかを選ぶといいですよ」と話かけた。あまりの思いがけない話に、MIHARU 選手は、はじめは理解ができなかったという。

 「自分より先にフィットネスビキニを始めていた選手たちが『プロになりたい』と話しているのを聞いたことがありましたが、自分がプロなれるとか思ったことも、考えたこともありませんでした」。

 日本ボディビル・フィットネス連盟(以下、JBBF)の選手がIFBBプロになるにはJBBFの審議を受ける。審議を受ける条件の一つに「JBBFの所属選手として5年以上の実勢がある者」とあるが、2016年9月にオールジャパンで競技デビューしたばかりのMIHARU選手には審議を受ける資格さえなかった。

 しかしIFBBにはエリートアマチュア制度があり、極めて優秀な選手に限りIFBBがプロ推薦をしてプロへの道が開かれる。MIHARU選手の場合はこの制度が適用されたのだった。

 「ちゃんと実力を発揮できればJBBFが規定する所属年数に満たなくても、IFBB側から推薦をいただけてプロになることができる。これは夢のある話です。私のことをきっかけにプロを目指す選手が、自分に続いてきてくれたらいいなと思います」。

 ビキニ競技はアメリカでは歴史があるが、日本ではまだ4年目という新しい競技だ。プロ認定の規定も、何歳でも競技ができるボディビルダー に合わせて作成されたようなので、ビキニ競技などの選手生命が短い競技を考慮した規定の改正は今後の課題となるだろう。

ライバルは大事な存在

 新しい競技ゆえに選手をとりまく環境もなかなか 厳しい。日本にはまだビキニ専門のコーチがいない。各選手がコーチやスタッフと試行錯誤を重ねながら競技に臨んでいるのが現状だ。MIHARU選手もビキニ選手の指導経験のない日本のトップ・ボデビルダーにコーチを依頼した。このような状況下で の日本人初のプロ選手の誕生はさまざまな面で日本のビキニ競技界を盛り上げるにちがいない。

 MIHARU 選手にタイトルを獲るために必要なものは何かと尋ねると、「競技は、 決して自分独りでは勝てません。サポーターや指導者はもちろん大事な存在ですが、ライバルの存在はとても大事で、ライバルがいないと成長しないと自分自身は思っています」と答えた。

 ある時期、MIHARU選手の憧れのフィットネスビ キニの選手は他の階級にいた。その選手と同じス テージに立つには各階級チャンピオンが勢ぞろいする総合チャンピオン決定戦のオーバーオールに進むしかない。そこでMIHARU選手は階級での優勝を目指してトレーニングに励み、オーバーオールに勝ち進んだ。

 またある時は、トレーニングがなかなか上手くいかず落ち込んでいると、他の選手が「絶対に大丈夫だよ」 と背中を押してくれたこともあった。「同じ選手だか らこそ分かり合える減量の辛さ、トレーニングのハードさなどがあって、それらを共有し合いながら目指すステージまで駆け上ることができたことに、ライバルのありがたさを感じます」。

筋トレ・コスプレイヤー

 筋力トレーニングを始めたきっかけが「趣味のコスプレのクオリティーを高めるため」と話すMIHARU選手は、コスプレイヤーとしてもステージに出演している。高校3年の時にコスプレを始めたが、トレーニングで体型が変わるとコスプレも、体のシルエットが出る格闘技ゲー ムのキャラクターなど “かっこいい女性 ” のコスプレへと変化してきたという。

 11月には “ 筋トレ ” 大好きなコスプレイヤーが集まった『肉体造形部』という筋肉コスプレイヤー・チームのメンバーとして、さいたまスーパーアリーナで開催される“史上最大のネットカルチャーライブ” 「ニコニコ超パーティー 2017」に出演する。

 「ビキニプロとしての初戦が終わったら、ロサンゼルスでのコスプレの情報も集めてみたいです。 時間的にも気持ち的にも余裕があれば、アニメEXPOにも出場してみたいですね」と、コスプレイヤーとしての血も騒ぐ。

「ストリートファイター」に登場するキャミィのフィギュア「海洋堂 ・キャミィオーセンティックホワイトver」のコスプレ。「女性らしい美しく鍛えたかっこいい見た目はもちろんなこと、キャミィの芯の通った性格、優しい一面など、女性としても憧れる人物です」とMIHARU選手

日本人、アジア人として世界で戦う

 MIHARU選手のIFBBプロとしての初戦は9月に韓国で開催される「The IFBB PRO Asia Grand Prix」。「ミスター オリンピア」に出場している選手や各大会で優勝した経歴を持つ強者のみが招待される大会だ。

 「一番初めに、自分がこれからチャレンジしていく世界のトップ選手と並べるなんて、こんな贅沢な話はありません。自分がどれだけ学べるかが勝負だと思っています。今からワクワクしています」と、大会前の心境を語った。

 プロ転向後の課題はポージングや筋肉の増量などあるが、「プロ選手は余裕があります。常に笑顔を忘れない、人に優しくできる。トップ選手はアスリートとしてもプロですし、人としても人間性が高くてプロフェッショナルなので、自分も今後は成長しな がら学んでいかないといけないところだなと感じています」と、内面もプロへと進展し始めている。

 世界中の選手に混じり競技することについて「日本人は海外の方に比べて足が短いとか、顔が大きいとかコンプレックスを持っています。日本人だから、アジア人だからと諦めている人も多いかもしれません。しかし、日本人には日本人の見せ方があると思いますし、日本人には日本人の戦い方があると思います。今回、私がプロになることができたというのも何か意味があるかと思います。日本人として誇りを持ってというか、日本人として、アジア代表として戦ってみたいと思います」 と話した。

 新たに日本人がプロとして活躍する競技が一つ増えたことは、スポーツファンとしても日本人としても応援のしがいがある。ビキニ競技のファンも、まだ見たことがない人も、MIHARU選手の今後の活躍に注目してほしい。


MIHARUさんプロフィール
本名・倉地美晴。IFBBビキニプロ、コスプレイヤー、ヘア&メーキャップ アーティスト。2016 年9月「2016 オールジャパンフィットネスビキニ選手権大会 163cm以下級」優勝、オーバーオール2位。 2017 年5月、「アジア・ボディビル&フィットネス選手権大 会 in モンゴル」163cm以下級優勝、オーバーオール優勝。
Facebook @MIHARUWORLD
Instagram @miharu_fitness
Twitter @miharufitness

=Tomomi Kanemaru


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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