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コラム

後藤英彦のぶっちゃけ放題!
第440回 落書き、それは奔放な表現の元祖

2017-08-24

ノートでもいい、壁でもいい。過去を振り返ってみて一度も落書きをしたことがない人はいないのではないか。
万里の長城に「イジェハ」と書いたハングルは恋人かそのたぐいの人名とみられている。
中国共産党機関紙の「環球時報」には「文化破壊だ」と怒りの声が寄せられているが、「時代を映す正直な鏡でもある」と好意的な学者もいる。
落書きの歴史は古い。
ジャワ原人が貝殻にサメの歯で刻んだらしい線は約五十万年も前のもの。
五千年前の古代エジプトの粘土板には「最近の若いもんはけしからん」と綴った落書きが施してあるという。
米国では戦争時や不景気時あるいはギャングの縄張り用に使われる例が多いようだ。「キルロイ参上」(Kilroy was here)と記した落書きが各地に登場したのは第二次世界大戦の頃だった。
イタリアの史的建造物にはイタリア語のほか英語、スペイン語の書き込みがよくみられる。
落書きに寛大なイタリアに行くと日本人までつい羽目を外す。
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を訪れた京都産業大学、岐阜市立女子短期大学の学生や常磐大学付属高校野球部監督が壁などに落書きをして話題を巻いた。
日本史上最も有名な落書きと言えば、京都・二条河原の落書き(一三三三年)だろう。
「この頃都にはやる物、夜討ち、強盗、謀倫旨、召人、早馬、虚騒動」(この頃、京都にハヤるものは夜討ち、強盗、土地の偽権利書、主人と男女関係を結ぶ女房、馬の至急便、空騒ぎ)。
非現実的な天皇の親政を風刺したもので、後醍醐天皇に反抗する形で足利尊氏が挙兵、室町幕府を興している。
鎖国江戸期の一七世紀、カンボジアを訪れた日本人がアンコールワットに落書きを残している。
肥前松浦藩の森本一房という武士で「父母の菩提に数千里海を渡り・・」と墨筆で書いている。
「へのへのもへじ」は江戸の落書き遊びの代表格だが、あえて文字にする必要もない。歌川広重の描いた侍の絵顔がよく知られている。
高山寺の鳥獣戯画も奔放な落書き気分で描いた一二世紀の傑作漫画だ。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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後藤英彦

一九六四年時事通信社入社。旧通産省、旧農林省、旧大蔵省を担当後、ロサン
ゼルス特派員。本社海外部次長。途中希望退社して盛岡大学客員教授、評論活
動。二度目の来米でジャパン・ジャーナルを主宰。講談社、エルネオス系を中心
に寄稿中。主著に「日本をダメにした官僚の大罪」(講談社)。中大法学部法律
学科卒業。福岡県出身。グレンデール在住。

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後藤さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/jajala816




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