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コラム

編集部
来羅NOW! 加藤優典さん @Torrance / San Clemente

サーファー・2020年東京オリンピック強化指定選手・第51回全日本 サーフィン選手権ジュニア部門チャンピオン

自分の幅を広げる

 サーファーで2016年全日本サーフィン選手権ジュニア部門チャンピオンの加藤優典さんが、サーフィンのトレーニングのため来羅した。加藤さんは、2020年東京オリンピックで追加種目となったサーフィンの日本代表選手を選抜するために選出された強化指定選手に選ばれ、現在、2020年東京オリンピック出場を目指し、今年から海外で修行を開始した。

 加藤さんのサンクレメンテでのサーフィン修行はユニークだ。現在サンクレメンテでは世界のトップサーファーが出場するWorld Surf League(以下、WSL)の「2017 Hurley Pro at Trestles」が9月6日から開催されている。加藤さんは出場しないが大会前に来羅し、大会に備えて練習するトップサーファーたちに混じり、練習を始めた。

 「これまでトップ選手のサーフィンを間近で見たことがありませんでした。トップ選手のサーフィンを知らないまま上手くなろうとするより、まずは自分の幅を広げようって思いました。

 技の大きさも動画を見ただけでは全然感じられなかったけれど、トップ選手とサーフィンをして今は彼らがやっていることはすごいんだなって実感しています。自分が見える範囲での“上”のサーフィンしかできなかったけれど、今は僕のサーフィンする幅も広がりました。

 先日は、僕が好きなマット・ウィルキンソン選手(世界ランク3位)が、僕の隣で波待ちをしていたんですよ。そこにピョンピョンピョンて魚が飛んできて、それに彼がビビっていたので『彼も人間だな』って思いました。(笑)」と、世界のトップレベルと同じ海で練習しているからこそ感じ、分かることがあったと加藤さんは笑顔で話した。

東京オリンピック出場目指す

 東京オリンピックには世界のトップアスリートが集結する。サーフィンに出場できるのは男子20人女子20人だ。日本は開催国なので必ず出場枠があるが、金メダルを狙うには、まず世界のトップ32人が出場するWSLのチャンピオンシップツアーへの出場資格を得なければならない。そのためには幾つかの予選に出場して優勝しなければならない。WSLの大会は海外で行われるため多額の遠征費が必要だ。

 「サーフィンはすごいお金がかかります。オリンピックを諦めていた理由もそこにありました」と加藤さんは話した。

 昨年、加藤さんは妹の里菜さんがバリ島へサーフィンの遠征に行く資金を、クラウドファンディングで集めた。里菜さんも東京オリンピック・サーフィン種目の強化指定選手で、加藤さん同様に昨年の全日本サーフィン選手権ジュニア部門で優勝していた。

 資金集めのために多くの人々に会う中、ある時、加藤さんはインターネットメディア事業の会社経営者、イタリアンレストランのシェフ、ゲストハウス経営者の3人の支援者に出会うと、「自分のことは?」と尋ねられた。妹の資金集めに奔走していた加藤さんだったが、その質問であらためて自分に問うた。

 「僕がしたいことは何だろうか?」

 今年2月に「オリンピック行きたいんだったら、好きなことをやれよ。オリンピックに行きたい気持ちがあるなら、大学進学は辞めて東京に来いよ」と3人の支援者に背中も押してもらい、加藤さんが出した答えは「僕はサーフィンをしたい」だった。

 「サーフィンの特待生として推薦入学が決まっていたので、高校、大学、他にも多くの方々にご迷惑をおかけしてしまいました。僕は坊主になってみなさんに謝罪と自分の気持を伝えました」。
 加藤さんが「オリンピックに出る」と決断したきっかけは、兄妹で全日本大会で優勝したことで注目されパナソニックのCMに起用されたこともあった。「今まで僕も諦めていたところを一回でいいから挑戦してみようとなりました」。

 今度は、加藤さんは自分の遠征費を工面するために多くの人々に支援をお願いした。今回の来羅の費用は支援者たちの応援の気持ちがこもった支援金から出ている。

 「サーフィンをしている人で『なぜカリフォルニアに行くの?』と僕の行動に疑問を持つ方もいらっしゃいますが、僕が思う上への行き方に正直にやらないと、資金を提供してくださっている方たちに失礼だと思うんです。

 また高校卒業後は自活していますが、自分でするようになって、やっとこんなに費用がかかっていたのかと、父と母には感謝です。だから絶対に自分がやれることはやると、全神経を注いでサーフィンをやっています」。

チャレンジ精神に変化

 今回の来羅で成長したところは「チャレンジ精神ですね。今までは何かをしたいと思っても、何らかの理由をつけてしなかったり、他の人といると他の人に合わせたり、自分がこうしたいということが出せませんでした。

 大会の会場ではトップの選手に話しかけたり、カメラマンを見かけたら写真を撮っていたかどうかを尋ねたり、3月までの僕ならできなかったことです。僕自身が成長を感じます」と話した。

 滞在中は世界のトップ選手と同じ海で練習をすることも目的だが、「2017 Hurley Pro at Trestles」を観戦するのも目的だ。日本でのサーフィンの大会では、10点満点中6点が二度出せれば勝てる可能性があるという。しかしチャンピオンシップツアーはそんなレベルではない。加藤さんが好きなジョンジョン・フローレンス選手のツアー平均は8.2点。ほぼ毎回満点をとらなければWSLツアーで優勝はできない。

 「ある日本の大会で8点が出たのを見たら、その後は僕も8点を出すのは難しくないなと思えるようになり、8点を出せるようになりました。

 今回の大会で10点が出たら自分も出せると思えるようになります。高得点の大会を間近で見て感じられるものはいっぱいあるんだろうと楽しみです。だから、それを知らないままでいた自分はもったいないと思います」と、高得点を見る前の自分と見た後の自分では、高得点を出すこと対して明らかにメンタルが変わったという。

 「今年はまだ一勝もしていない」と話す加藤さんだが、勝った時と勝てなかった時の自分の分析をずっとしている。勝った時は「勝てる」という気持ちで競技に挑み、負けた時は「勝ちたい」という気持ちだったという。気持ちで行動が全く変わってしまった。

 「“勝てる”を他の言葉で置き換えると“自信”だと思います。トレーニング、食事、練習、サーフィンと、『これなら勝てる』というルーティンを自分で作らないとなりませんが、僕はそれがまだ甘いです。そこで出てきた答えが世界のトップのサーフィンをまだ見たことがないということでした」。

サーフィンのイメージアップを目指す

 オリンピックを目指して世界に出たばかりの加藤さんは、不安で寝れない時もあり、チャレンジしたい、成長したいというさまざまな気持ちが常にあるという。このような中でも来羅して嬉しいこともあった。

 アスリートが集まる女子プロのアメリカンフットボールの選手兼オーナーの鈴木弘子選手宅に行った時のことだ。そこでプロレスラーのヨシタツ選手から「加藤君に会って、サーファーのイメージが変わったよ」と言われたことだった。

 サーファーに対するイメージは、一般的に、ちゃらい、遊んでいる、酒を飲んでいる、タバコや大麻を吸っているなど、けっして良くないと加藤さんは言う。加藤さんが高校に進学すると、サーフィンで茶色くなった髪の毛について先生から注意されたり、黒く染めなければならなかったり、ある時は坊主にさせられたりした。

 高校時代、加藤さんは毎朝4時半に起床して海でサーフィンの練習をし、学校に行って帰宅するとバイトやトレーニングに励んだ。真剣にサーフィンに取り組んでいたが、他の部活動とは異なり大会出場で欠席の場合は「公欠」ではなく「自己欠」だった。

 しかし学年が上がるにつれサーフィンで良い成績が出るようになると宮崎県のサーフィン協会が学校に加藤さんの人柄、サーフィンに取り組む姿勢、周りの評価などを伝えた。すると学校側が「加藤優典選手全日本優勝おめでとう」と垂れ幕を校舎に吊るすなど加藤さんの活動を理解するようになった。

 「サーフィンは遊びだと言われて、すごく悔しかったです。僕がオリンピックに出て発信することで、広範囲でサーフィンの悪いイメージを良く変えられたらと思っています。だからサーフィンを一生懸命取り組みたいという気持ちがあります」。

 良い結果を出すことに加え、サーフィンのイメージアップもしている加藤さんが、海外の大会に出場するのは来年2月からだ。「今年はいろいろ経験して飛躍して、来年は全部勝ってやろうという気持ちです。東京オリンピックまであと3年。来年、再来年で勝てる選手になりたい」と、加藤さんは抱負を語った。加藤さんの東京オリンピックでの活躍が楽しみだ。

加藤 優典(かとう ゆうすけ)さんプロフィール
大阪生まれ。18歳。小学4年でサーフィンを父親に習う。サーフィンに専念するために宮崎県に移住。2016年に第51回日本サーフィン連盟 全日本サーフィン選手権大会 ジュニア部門優勝。宮崎県民学生栄誉賞 受賞。宮崎市体育協会 スポーツ優秀賞 受賞。
FB http://www.facebook.com/yusuke.kato
後援会 http://kato-yusuke.spo-sta.com/staff/965

               
=Tomomi Kanemaru


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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