編集部
◆インタビュー連載◆05 西本敬一JETROロサンゼルス 事務所所長
2017-02-02
西本敬一日本貿易振興機構(以下、JETRO)ロサンゼルス事務所所長に、ロサンゼルスでのJETROの展開やプライベートでのライフワークについて聞いた。
(金丸智美)
―アメリカ西海岸で日本の地方創生を展開しますか。 所長 ニューヨークとの比較ですが、ロサンゼルスで地方創生をするべきだと思ったことがあります。県人会の存在です。
ロサンゼルスにはニューヨークと異なり、多くの県人会があり、活動は続いています。これはすごい強みだと思っています。
もう一つはロサンゼルスにおける日系アメリカ人の存在です。この二つが、私の中では、地方創生に繋がっています。
―どのように繋がっているのかを、もう少し詳しくお聞かせください。
所長 日本の地方と海外を繋ぐ時に、海外の中のローカル(地元)と日本の地方の企業さんが繋がることをしたいです。アメリカの消費者もいろいろな方がいます。これまではアメリカ人というと漠然と白人の方たちをイメージしていたと思いますが、白人の方たちは日本食を毎日食べません。
しかし、ロサンゼルスにはアジア系のマーケットがあります。ロサンゼルスに来て、アジア系の人たちの購買力がアップしているという感じを受けました。
日本人以外にどう売るのか。もっとセグメント化して考えるべきです。非日系市場=白人に売ることのみと捉えるのではなく、人種•人口で考えるべきです。アジア系の市場はまだまだ開拓余地があると思います。
リーマンショックで経済が悪くなるとヒスパニックの移民はメキシコなど母国へ帰ってしまい、いずれ移民ではアジア系がヒスパニックを抜くという予測が出ています。
アジア系の平均世帯所得は高いです。アメリカ人の平均は5万ドルですが、アジア系の平均は6・6万ドルです。白人と共に地道にアジア系を開拓してもいいんじゃないか。アジア系の人々は箸が使えて、食習慣が似ていて、我々、日本人の食品に親和性が高いです。
アジア系の市場に入っていくのに、日系アメリカ人にハブになってもらったらどうだろうか、日系アメリカ人にアメリカのマーケットにしっかり入るゲートウェイになってもらえるのではないかと思いました。
日系アメリカ人の若い世代は、アメリカ人としてこれからの時代を作っていく人たちで、日本のことをあまり知らなくても、日本に関心を持っていて、日本との縁もある人たちです。私は地方の日本企業と日系アメリカ人の若者を繋げたいです。
(つづく)
【西本敬一所長】1988年にJETRO入会。2003年は財団法人世界平和研究所に主任研究員と出向。2006年にはジェトロニューヨークセンター次長(事業担当)。JETROのウイーン、ハノーバー、熊本、岐阜にも勤務。その他に宮崎県グローバル戦略アドバイザー、岐阜県高山市海外戦略アドバイザーを兼任。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。