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コラム

苦楽歳時記
最終回 熟成生ハムサンド

2016-12-09

 アイフォーンやインターネットのない時代に、LAで一番見つけにくい生ハム工場(La Espanola Meats Inc.)の直営レストラン。

 小さな店には、数種類のローカル生ハムと、ハモン・セラーノ、ハモン・イベリコなどの、スペイン直輸入の熟成生ハム。スペイン産の食材、調味料、チーズ、ワインとパエリア専用の鍋などが販売されている。

 特筆に値するのは、LAタイムス絶賛のハウスサンドイッチ。四・九五ドル。

 焼きたてのバケットにパンコントマテ(ニンニクと完熟トマトをこすりつけ、オリーブオイルと塩を振りかけたもの)に熟成した生ハムを挟んだもので、心にくいおとなの味(風情)がする。

 サイドで付くオリーブは二種類。ドライトマトにハーブとニンニク、玉ねぎ、フィレアンチョビ、乾燥赤唐辛子、黒コショウ、オリーブオイル。それから酸味は少なめの、スペイン・バレンシア産のバルサミコOILIXIR LXR。それらの中にオリーブを漬けて乳酸発酵させてある。食したとたんに情熱が肉体にみなぎる乙な味。

 土曜日しか作らないパエリアも人気。ハウス・パエリア九ドル。シーフード・パエリア十二ドル。最終土曜日にフラメンコのライブがある。

   ◆   ◆

 パリからTGV(フランスの新幹線)で、二時間かかるレンヌ駅の売店で、サンドイッチを購入したことがある。

 あまり期待しないでほおばると、生ハムの熟成した匂いと、特製ソースに生ハム特有の旨味がからまって、晴れ晴れしいおいしさであった。

 九ヵ月以上熟成させるハモン・セラーノ(山のハムの意)の、スライスした生ハムを買ってきて、調味料をつけないで山のハムだけをバケットに挟んで味わうと、スペインの片田舎を放浪し、千朶万朶(せんだばんだ)の花園に出くわし、その中でバケットをかじっているような、清らかで、ふくいくとした妖美な味がした。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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