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コラム

苦楽歳時記
第225回 詩人たちの季節

2016-11-16

 毎年秋も深まると、つい口ずさんでしまうヴェルレールの詩、「落葉」は、上田敏の訳詩集『海潮音』に収められている。中学か高校の現代国語の教科書にも載っていたので、大変馴染みの深い詩だ。

 人は誰でも恋をすると詩人になるというが、イエスは時として自然派の宗教詩人であった。『新約聖書マタイによる福音書』において、神の摂理に基づいて大胆に語り続けながら、あらゆるものを通してご自身が神の御子であることを悟られた。

 「まず神の国と神の義と求めなさい。そうすれば、これらのことは、すべて添えて与えられるであろう」と述べ伝えたのは、単なる詩人イエスの言葉ではなく、神の言葉の約束であった。

 二十世紀初頭、精神的に苦しみ悩む若き詩人志望が、面識のないリルケに手紙を出す。「詩人になりたいのですが」。リルケは答える。「夜の最も静かな時刻に、私は詩を書かなければならないのかと深く自己自身にたずね、私は書かなければならないのだ。という力強い一語のみかえってくるなら、あなたはその必然に従って生涯をつらぬきとおしなさい」。(リルケ『若き詩人への手紙』より)

 詩を書くべきか。自問自答する間もなく、詩を書くことが生きることの証しであり、詩を書くことで神を褒め称えた水野源三さん(一九八四年召天、享年四十七)は、九歳のときに脳性麻痺で首から下と言葉の自由を失った。

 十三歳のときに神を信じて受洗し、十六歳の頃から母親の協力を得て、五十音表を使って瞬きを合図に、一字一字拾いながら詩作をはじめた。両者にとって大変根気のいる作業であった。「瞬きの詩人」誕生である。

 『秋』(一九七一年)
リンゴ実る秋に体が不自由になり/コスモスの花が咲くころに/初めてイエス様の話を聞き/聖書を読み/コオロギなく夜に/救いの喜びに ねむれずにいた (水野源三)

 「詩を読み詩を愛する者はすでにして詩人であります」 (詩人・三好達治)


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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