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コラム

苦楽歳時記
vol199 つらいけれども幸福(ハレルヤ!)

2016-05-19

 長きにわたって闘病生活を続けているとストレスが充満する。度重なる困難を極める手術、喀血、末期癌、転移の数々、意識不明、検査、薬の副作用、右半身麻痺、言語障害、通院(待ち時間が長い)、食事制限、心理的不安、身も持する生活。

 就寝時には、右半身麻痺で寝返りを打つことができないので、レイジーボーイの安楽椅子をリクライニングさせてから、眠りにつくようにしている。

 休む前には儀式がある。右肘かけの間にクッションを入れて、家人に右腕をのせてもらい左手を使って右の指を一本ずつ開かせる。うまく決まらずに四~五回。

 就眠するときも窮屈かつ、寝返りを打てないのでリラックスすることはない。ストレスがたまり長命は期待できないと想う。

 吾輩以上に苦しんでいる人は世界に数多といる。それぞれが、あらゆる艱難と死ぬ思いで闘っている。外に出て働くことはできないけれども、陋居(ろうきょ)では原稿書きの仕事ができる。ときおり、豊穣な空想に孤独な心を満たして慰めている。

 吾輩の周りには、幸いにも心優しい人々があふれている。W・LAホーリネスの教会の皆さんは、糊口をしのぐ吾が家の経済状況を把握してくださり、度々援助してくださる。聖日には愛餐(午餐)を遠いところから届けてくださる。個人からも好味な料理を作って届けてくれる。

 また、日系マーケットのギフト券を、カードを添えて送ってくださる。

 サウスベイ・ジャパニーズ・クリスチャン・フェローシップの牧師夫妻は、真心のこもった夕餉を届けてくださる。娘には年に二回のリトリートを無償で与えてくださる。信徒の中には匿名で吾が家の経済を支援してくださる。

 ラスベガス・ジャパニーズ・コミュニティー教会の牧師は、吾輩をクリスチャンへと導いた人。証しの度に、教会からも個人からも何かと援助してくださる。

 これらの教会は、吾が家のために日夜執りなしの祈りをしてくれる。母、友人、知人、お目にかかったこのないクリスチャン、読者の皆様にも、お祈りをしてくださる方々がおられる。

 ありがたいことだ。勇気と夢と希望もたらしてくれる。万謝に堪えません。

 ここで悪報を知らせたい。フォークロジャー確定。数ヶ月後にはこの家から出て行くことになる。

 沖縄育ちの家人は吾輩の介護で大変だが、持ち前の明るさで(毎日頑張っていると)「なんくるないさ~」と、吾輩を励まし続けている。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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