NikkanSAN_TopBanner_2023-05-07

ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など

日刊サンはロサンゼルスの日本語新聞です。 記事は毎日更新、求人、クラシファイドは毎週木曜5時更新。

コラム

苦楽歳時記
vol.14 豆 腐

2012-10-24

「世の中は豆で四角で柔らかで、又老弱に憎まれもせず」。中国からインゲン豆を日本へもたらした隠元禅師は、豆腐をこのように称賛している。
 
現代でこそ、豆腐は健康食品の代名詞として圧巻だが、江戸前期の儒学者、貝原益軒は、自著『養生訓』の中で「豆腐には毒があって気をふさぐ」と記述している。
  
益軒は豆腐の食べ方について、「新鮮な豆腐を選んで、素早く煮て取り上げたら、大根おろしを加えて食べると害はない」とも記している。
 
江戸後期のベストセラー『豆腐百珍』の「絶品」の項目に、益軒の意向を参考としたらしい「湯やっこ」が紹介されている。
  
まず、豆腐を奴に切る。湯に葛を入れて、豆腐が浮き上がったら出来上がり。つけ汁は醤油を煮立てて、花かつおを入れる。湯をさしてもう一度煮立てる。薬味は葱、大根おろし、粉唐辛子。これなら家庭でも簡単に作れる。
 
先般、DVDで茂山狂言を観た。茂山狂言の家訓は、お豆腐狂言として語り伝えられている。その昔、婚礼や祝いの席で、余興に困ったら「茂山の狂言にしとこか」といわれた。

京都ではおかずに困ったら「豆腐にでもしとこか」という。周囲からは「茂山の狂言はお豆腐屋」と揶揄されたそうだ。そんな陰口を逆手にとって、広く愛されて飽きのこない、味わい深い『豆腐狂言』の精神を貫いている。

大の豆腐党であった泉鏡花は、生ものに対する恐怖症があったために、湯豆腐しか食べなかった。しかも、ぐらぐらと煮えた湯豆腐を好んだ。
 
「湯豆腐やいのちの果てのうすあかり」。美食家の文人、久保田万太郎の一世一代の名句である。
 
平成五年(一九九三)日本豆腐協会は、語呂合わせから、毎月十二日と十月二日を『豆腐の日に』制定した。            


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
Facebook   Twieet

新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




[ 人気の記事 ]

第230回 碧い目が見た雅子妃の嘘と真

第249回 尻軽女はどこの国に多いか

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 後編

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー① アメリカについてよく知ることが大切

第265回 天才と秀才、凡才の違い

第208回 日本と北部中国に多い下戸

第227回 グレンデールに抗議しよう

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 前編

第173回 あなたの顔の好みは?

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー③ アメリカについてよく知ることが大切



最新のクラシファイド 定期購読
JFC International Inc Cosmos Grace 新撰組3月 Parexel pspinc ロサンゼルスのWEB制作(デザイン/開発/SEO)はSOTO-MEDIA 撃退コロナ音頭 サボテンブラザーズ 





ページトップへ