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コラム

キム・ホンソンの三味一体
vol. 4 切望のクリスマス

2011-12-30

 もうクリスマスかと思うと、改めて月日の経つ早さを思います。クリスマスというのは、毎年決まった時に決まったことをする恒例行事のように思えて、不思議なことにいつもワクワクしながら待ち遠しく感じてしまうところがあります。

 キリストの誕生に関する聖書の箇所を見てみると、キリストのお生まれを待ち望んでいた当時の人々の様子が生き生きと描かれています。自分の財産や仕事はもちろん、中には自分の命の危険をも承知でその誕生に立ち会うために行動した人々についても書かれていました。ただ待っていたというのではなく、「切望していた」と言った方がピッタリくるかもしれません。

 ふと、今何かを心から切に待ち望んでいることはあるだろうかと思いました。「待たないですむことこそが幸い」と豪語するように、到来する新しいテクノロジーやサービスによって、もはや列に並んで順番を待つことすらなくなってきつつある社会において「切望」とはすでに死語になっているのかもしれません。

 先日、私たちの娘がお世話になっているホームデイケアの方に聞いたのですが、朝に預けられた娘は、午後になると玄関の方を意識しながら遊んでいるようです。それは、呼び鈴を鳴らし迎えに来てくれるママの胸に飛び込んでいける体勢を整えつつ、ママのことを切望しているからなのでしょう。

 20年も近く前の話ですが、徴兵で韓国の軍隊に入っていたときのことを思い出しました。色々な制限によって全く自由がなかったその“灰色の思い出”ともいうべき3年間、私は自分の日課の一つとして小さな手帳のカレンダーに毎日バツ印を付けていました。束縛の中にあっても、除隊の日、自由になる日を切望することによって希望を持って苦しい日々を耐え抜くことができたのではないかと思います。

 自然災害や未曾有の経済危機によって世界全体が打ちひしがれた今年であっても、変わることなく新しいクリスマスがやって来ました。どのような一年であったとしても、理想の明日を切望する希望を持つことができるということを、今年もクリスマスを通して思い起こしたいと思います。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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キム・ホンソン

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後、ケンタッキー州立大学の大学院に留学し、1999年からロサンゼルスのリトル東京サービスセンターでソーシャルワーカーとして働く。現在、性的マイノリティーをはじめすべての違いを持つ人々のための教会、聖霊の実ルーテル教会 (Torrance) と復活ルーテル教会日本語ミニストリー(OC, Huntington Beach)を兼牧中。

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